人の作ったフライを見て啓発されることは良くあることだ。この前、ウラタンでS井君がよく釣っていたフライ、また今回世附川であるフライを見て、思うことがあった。
それは、この二つがともにシャンクの前半だけにドレッシングがしてあって、シャンクの後半以下は水中に入ってしまうパターンだったことだ。この浮き方はユスリカのフローティング・ピューパの浮き方によく似ている。だから、魚は常食であるユスリカのピューパによく似た浮き方なので違和感なくフライをくわえるんじゃないだろうか。
もしかしたら浮き方を見ていると言うより、小さなドレッシングされた部分だけを見ているのかも知れないが。
この二つのフライはフッキングがとてもいいようだった。それはフックサイズが大いのでゲイプが広いからだ。
この大きなゲイプと小さなドレッシングという組み合わせがどうやらキモのようなのである。そこでフックを探してみたらあったあった、ティムコからTMC212Yというフックが出ていた。聞けば昨年出た新製品らしい。アンブレラ・フックも同じような目的で作られたフックだと思われるが、212Yのほうが形もシンプルで信頼性が高そうだ。このフックのゲイプはきわめて広いし、ワイヤーは細い。で、このフックを使って、アイのすぐ後ろにだけドレッシングをしたパターンを作ってみた。
よくスレた鱒がフライをくわえず、ちょんとフライをつついて帰ることがあるが、このパターンならそんな場合でもちゃんとフッキングするだろうと思う。かなりの大きさの裸のフックが水中にあるので鱒は見破るんじゃないかと心配する人が居るかもしれないが、心配無用、鱒はこの部分は見ずにドレッシングされた部分のみを見ているのだ。このことは多くの経験ある釣り人が賛成してくれるだろう。
おそらく同じようなことを考えてフライを作った人が居ることだろう。ま、写真を見せよう。ややえげつないかもしれないが、鱒と人間との騙し合いと思ってもらいたい。
明日・あさっては鹿留でスレた鱒を相手にこのパターンを試してみようと思っている。