１１月７日、定休日、西湖にヘラブナ釣りに行った。西湖では１０月後半から気温がグングン下がり、ヘラブナも釣れなくなってきている。だが、ボクは西湖の雄大な景色が好きだし、ヘラブナは大きいし、引きも強い。もはや定宿になった「丸美」は気安く泊まれるし、コーヒーは飲み放題なのも気に入っている。ヘラブナ釣りは朝の出船が早いので、早起きが苦手なボクは前日に丸美に泊まることにしている。水曜に釣りに行くときは前日の火曜に泊まるわけだが、火曜はボクは６時半まで仕事がある。だから、釣りの準備をしっかりしておいて、７時頃には相模原を出発する。途中で夕飯を食べるので、西湖に着くのは９時半か１０時になる。宿の人はとっくに寝ているので、ボクは丸美に着くと２０３号室に直行する。蒲団はすでに敷いてあるので、持ち込んだ酒を飲んで寝る。朝は５時に起きて、５時半から朝食、６時半に出船。朝靄の中を曳き舟をしてもらい、今回は石切の白樺というポイントに入った。
　この日は何となく、うまくいかなかった。まず、舟の岸付けに手間取った。３０分以上かかったんじゃなかろうか。つぎに、ポイント正面の６メートルくらいの深さの所に障害物があり、鉤が引っ掛かって、何本もハリスを失った。結局、竿掛けを使わず、右前方に向かって釣った。今さら、他の場所に岸付けしなおすのは面倒だった。
　天気は良くてね、まわりの紅葉も綺麗だった。風はときおり吹いたが、西湖では平均的なところだろう。このところ、ボクはセット釣りに取り組んでいて、食わせエサをグルテン、オカメ、力玉のローテーションにしている。この日、アタリはあるんだが、鉤に乗らない！ツンと浮きが入ったり、ケシ込んだりするんだが、すべて空振りなのだった。それが、ずっと、午後２時まで続いた。今日はボウズかもしれないとボクは思い始めていた。あせっていた。そして、去年の西湖最後の日はボウズをくらったことを思いだしていた。
　そして、２時半、やっとヘラが乗った。強い魚でね、２１尺の竿を両手で支えなければいけなかった。上げてみると、３３センチメートルほどしかなかったが、綺麗な魚でね。キズ一つ無く、肩が張って、黒っぽく、こういうのを美形ベラというんだろう。その後２枚を追加して、３時過ぎには納竿。
　宿に帰ると、バアちゃんが、
「どうでしたか？」
と聞く。
「いやあ、今日はボウズかと思っちゃったよ。最後にバタバタッと３枚釣れて嬉しかったなあ」
「そうでしたか。それは良かったですねえ。もうこの時期は水温も下がって難しいですからねえ。来年は６月に来て下さい。そのころなら楽に釣れますし、カタもいいですよ」
と。
　これで、西湖も終わりだ。この１年の西湖の釣りは、いろいろ悔しい事もあったが、総じて去年よりは成績が上がっていると思う。だんだん釣れるようにはなってきているが、数釣りにはほど遠い。ヘラブナ釣りはほんとうに奥が深いナァ・・・。ま、難しいほうが長く楽しめるからヨシとしよう、か。