今日また養沢へ行った。晴れ、風強し。1時頃着いて「木の小屋」で蕎麦を食べていたら、蕎麦屋の庭に人がたくさん居た。聞くと、JFFの集まりだそうだ。蕎麦を食べ終わって、黙って行くのも悪いので挨拶に寄った。会長の佐藤さん、事務局の小玉さんは前から知っている。世間話をして、じゃあまた、と別れる。
まだ、ガガンボの時間じゃないので、上流に向かった。鱒の活性は高く、数匹を釣った。型はイマイチだが、養沢生まれの綺麗な元気のいいレインボウとブラウンが釣れた。
4時過ぎに事務所に戻り、コーヒーを飲んで今日の目的であるガガンボの釣りに挑戦する。事務所のすぐしたの淵が釣り場である。ところがこれが釣れない!虫はたくさん飛び、散発ながらライズはあり、フライには何度も出たのだが、ちゃんとフライをくわえていない。2時間頑張ったがドライフライでは釣れなかった。そんなときに僕の下流側7メートルほどのところにオジサンが来て、立て続けに2匹釣ってしまった。僕は驚いて彼の釣りを観察してみた。この僕が釣れないのに、横で簡単に釣ってしまうのだがら、よほどの名人に違いないと思ったのだ。ティペットはかなり細いようだ。フライはドライフライではなく、サブサーフェスを流し、時々フライを軽く引いている。
事務所に引き上げると、そのオジサンがいた。
「いやあ、うまいもんですなあ。どうやって釣ったんですか?」
と聞いた。
「あそこはもの凄く魚がスレていてですね。簡単には釣れないんですよ。私も30年通って、なんとか釣れるようになったんですよ。CDCは見切っているようですね。かえって普通のマテリアルの方がいいようです。ティペットは10エックスです。フライは18番のカゲロウのイマージャーなんですよ。テールはなしですが」
と教えてくれた。
CDCを見切るとは!みんながCDCを使うのでCDCにスレてしまったというわけか。養沢は東京の釣り場だし、日本一いや世界一スレた鱒というわけだったようだ。この説明を聞いて、僕のフライには出るのにくわえない理由が良くわかった。僕が使ったフライはすべてCDCを使っていたのだから。僕はオジサンに”何を食っているかストマックを見たことはありますか?”と聞きたかったのだが、やめた。せっかく丁寧に教えてくれたんだし、確かめるのは自分でやればいいんだと思った。
事務所のベランダでコーヒーを啜りながら、いやあ、スゴイ人がいるもんだ、とウナったもんだ。
帰りには五日市の洋食屋でドライカレーを食べた。旨かったし、ウェイトレスは愛想のいい娘さんで気持ちがよかった。帰りの車の中では少年少女合唱団が「早春賦」を歌っていた。
今日は綺麗な鱒が釣れたし、いいものを見たし、いい一日だったな、と思った。