だいぶ前に、ある人が「五辨の椿」という映画の岩下志麻は綺麗だったねと言っていたことを、最近、不意に、思いだした。ボクも岩下志麻という女優は美しいと思っていたが、「五辨の椿」は見ていない。そこで、彼女がどれほどの美しさだったのかを見たくなり、DVDを見てみようと思った。そこでビデオ屋に行ってみたんだが、いくら探しても「五辨の椿」は見つからない。店員さんに調べてもらったら、取り扱っておりませんとのこと。で、仕方がなくアマゾンで探すとDVDが2500円で売っていた。手数料込みで2840円なり。この前、アバターを見に行ったら同じような額をとられたので、それであればと、そのDVDを買うことにした。 そして「五辨の椿」をやっと見ることができた。山本周五郎らしい話であり、人間の愛憎、身勝手さ、貧困、正義心、男と女の話である。豪華キャストで金のかかった映画でもある。だが、ボクの個人的意見を言わせてもらえば、おそのが5人もの男を殺そうと決意した理由がわからなかった。母親を憎むのであれば、母親を焼き殺したところで一件落着のはずであり、母親と関係があった男をすべて殺すのは理解しがたい。そのへんは原作を読まないとわからないな、と感じた。 ま、何と言ってもこの映画の取り柄はやはり岩下志麻の美しさが見られることだろう。ほれぼれするように綺麗である。岩下志麻は、線が鮮明で、きりりとしていて、何か濃いものを感じさせる女性であり、椿(これはチャチャラした人工の椿ではなく、藪椿でなければいけない!)との共通点が大いにあるように思う。この映画のおその役は岩下志麻の当たり役だと思った。 追伸:その後原作の小説を読んでみた。やはり主人公のこころの動きは小説の方がわかりやすいが、それでも映画で感じた疑問は解決されなかった。山本周五郎の小説としてはいまいち共感度・完成度がたりない感じであった。この話はドラマチックな要素、しつらえ(平打ちのかんざし、椿の花)があり、小説よりむしろ映画向きだったようにも思う。 |