ボクはある英文医学雑誌の査読委員をしていて、年に数編の論文を審査する。たいていはヒドイ論文であり、コメントを書くのが嫌になってしまう。 ところが、である。今回審査した論文は立派だった。読むのに10分、コメントを書くのに20分、計30分で審査が終わってしまった。英語はよく書けていて、すらすら読めるし、写真は申し分がない。論旨も明快で、論文として一級品であった。 さすが、S宅先生であった。著者のS宅先生はボクも以前からよく知っている友人であった。彼は大学に勤めているわけではなく、大阪の日赤病院の病理部長で、勉強家であり、学会発表もするし、論文も書く。大学教授ではないので学会の会長などはまわってこないが、脳腫瘍病理学では日本有数の実力者なのである。もちろん、世界ででも、だが。 久しぶりに気持ちのいい審査をした。Nice Paper !(すばらしい論文!)と声高らかに言いたい気分だ。 |