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2012年09月21日(金) 

 雑魚川は”ざこがわ”と読む。この川のことは以前から聞いていて、一度行ってみたいと思っていた。また、古い釣友のY田さんがかなり前から通っていることも知っていた。そして、ことある毎に、彼は川よりも、泊まったホテルの良さを自慢した。そんな下地があったところに、9月のシルバーウィークにくっつけてクリニックを休診にして連休にしてあったので、あれやこれやと行き先を迷ったあげく、雑魚川に行こう、と決めたのだった。宿は彼が自慢していたグランフェニックス奥志賀を17日、18日の2泊、予約した。
 雑魚川は行く前にネットでも調べたが、奥志賀漁協は過去にいっさい放流をしていないそうで、原種保護の姿勢を貫いているという。他に例を見ない、独自の川の管理をしているという。だからバカスカ釣れるわけじゃないが、釣れればもともとの居付きのイワナなのだ。そこに惹かれて行ってみようと思ったわけだ。
 17日は朝8時に出発、関越経由で行くことにした。下仁田の近くで「甘楽」というおもしろい名前のSAがあったので入った。旅行の後、この甘楽という町名をしらべてみようと思ったものだ。出店があり、焼き栗を売っていたので買った。これが、なかなかおいしかった。
 上信越道中野インターで降りる。途中、これもY田さんお勧めの「グリーン」というレストランで昼食。そのあと、釣り場に直行。泊まるホテルの場所を確認し、釣り券はホテルの横にあるバス停で購入した。1日釣り券は500円よ安い。
 釣り場に着いたときには午後3時半頃になっていた。雑魚川の釣り場は標高1300メートルほどのところにあり、広葉樹林と針葉樹林の混合樹林帯にあった。川にそって、ところどころに駐車スペースが作ってあり、入漁者用の看板が立ててあった。看板曰く、”自然保護などのマナーを守れない方は2度とこの川に来ないでください”、と。ほほう、なかなか気骨があるな、と感心したものだった。
 熊も出るらしく、ボクは完全装備を整えた。熊鈴を下げ、ホイッスルを首からかけ、腰には熊スプレーとハンティング・ナイフを付けた。道から渓谷遊歩道に入る。すぐにブナの大木が2本あった。それは、とても美しい遊歩道だった。両脇には緑豊かな森があり、弾力のある腐葉土の道を歩くのはとても気持ちが良かった。途中、金属の管を叩いて音を出す熊よけがあった。当然のことながら、しっかり叩く。川に沿って、もちろん川を見ながら、下流に向かい、10分ほど歩いて川に入る。空気が爽やかでね、水にはいるとその冷たさに驚いたものだ。計ってみると、水温はなんと12℃であった!気温は23℃、水位はやや減水気味であった。
 16番のアダムス・パラシュートを結び、釣り始めた。10分もたたないうちにヒットし、寄せてみると22センチメートルの綺麗なイワナだった。ニッコウイワナであり、全身が茶色とオレンジ色を混ぜたような色で、腹部のオレンジ色はとてもあざやかだった。ボクはその完全な魚体にほれぼれしながら、何枚も写真を撮った。
 雑魚川の底は茶色のぬるの付いた石がゴロゴロしていて、フェルト底でもとても歩きにくい。30メートルほど上流に移動して、あまり深くはないが、流れが集まっているところにフライを流したとき、イワナがフライをくわえた。これは1匹目よりずっと大きく、何度かか奔った。なんとか寄せ、ネットですくうと、いいカタのイワナだった。浅瀬に持っていき、サイズをはかるとボクのハンドスパン(指をひろげた最大幅、ボクの場合、親指の端から薬指の端までで23センチメートル)より4センチメートルは長かった。ということは27センチメートルであった。Y田さんからは、魚は綺麗ですが、大きくはありませんよ。マックスで25センチメートルくらいです。けっこう攻められていますから、ポケットを拾っていくような釣りになります、と聞いていた。それが2匹目にして、ここのトロフィーが釣れたようだった。イワナはともすれば長さだけ長くて、細い魚体のものがいるんだが、雑魚川のイワナは決して細くはなかった!腹も出ていて、均整の取れた、じゅうぶん餌を食べている、コンディションの良い鱒属の魚体であった。その目で見ていくと、水生昆虫がとても豊かな川であることがわかった。
 また、ここのイワナは黄色味というか、黄金色がかっていた。それは24-25センチメートル以上のもので顕著であり、ゴールデン・イワナと呼びたいくらいだった。その色は、おそらく川の底石の色、餌の種類、遺伝などの要素がかかわって居るんだろう。婚姻色がすこし出ているのかなとちょっと思ったが、来年は盛期である6-7月に来て、同じ色かどうか確かめてみたいなと思った。
 その後、1時間半くらいで暗くなって納竿したが、合計で5匹が釣れた。大きい方から、27,25,25,23,22センチメートルだった。フライを流しきって最後に大きな口が水面に見えたが、その瞬間にフライにドラッグが掛かって、掛け損なったことがあった。また、フライが流れ、フライを追い越して、その下を大きな魚が下流に向かって奔り、結局フライには出なかった魚も居た。ボクの釣った場所は、たまたま誰も釣っていない、竿抜けのような所だったようだ。あれだけ自然に、おおらかに、フライに出てきたんだから。とても運が良かったようだ。ボクは美しい森、清冽な川、黄金のイワナに心を動かされ、幸せに満たされた気分で、遊歩道を歩いて車にもどった。はるばる350キロメートルを来たかいがあったと思った。
 ホテルにチェックインした。グランフェニックス奥志賀はリゾートホテルであり、作りも豪華だったが、従業員の応対の丁寧さがうれしかった。客の希望にできるだけ応じるという姿勢が感じられた。部屋は一番安いスタンダードツインだったが、とても広く、快適だった。大浴場も良かったが、風呂のお湯が熱かったのにはまいった。夕食は雪見豚しゃぶ。ぜいたくだな、と思ったが、俺もこの歳だ、このくらいの贅沢は許されてもいいと思った。夕食後は暖炉のあるラウンジで一服。Y田さんに報告の電話を入れた。彼はボクの釣果を聞いて驚いていた。夕食の時に飲んだ冷酒が、たった一合なのに、えらく効いて、それ以上の酒を飲むことができず、部屋に帰り、ベッドに入ったら途端に寝入ってしまった。











閲覧数1,280 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2012/09/21 11:26
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