5月25日(日曜日)、朝、学会用の衣類や靴をバッグに詰め込んで相模原に送り、身の回りのものだけをショルダーバッグに入れ、徳島駅から列車に乗った。窓から瀬戸内海を見ながら西に向かい、新居浜で降り、レンタカーで中野川に向かう。国道194号線を走り、石鎚山塊にうがたれた寒風山トンネルを抜け、高知県に入り、この日の宿の木の香温泉に着き、宅急便で送っていた釣り具一式を受け取って車に積み、中野川倶楽部に向かった。 中野川倶楽部の釣り場は中野川川であり、祖谷渓よりずっと奥の、吉野川の源流の一つだ。そこにしゃれたクラブハウスがたててあり、3年前に東京から移り住んだ齋藤さん夫婦が管理をしていた。彼らとは”つるや”のハンドクラフト展で会っており、お互いに再会を喜んだものだ。 クラブハウスはフライフィッシャーマン好みの作りになっていてね、薪ストーブもあり、コーヒーは飲み放題だった。テラスに出ると見えるのは緑に包まれた山ばかりであり、眼下には中野川川が随所に好ポイントを見せながら流れていた。 実はこの日、まったくの偶然なんだが、つるや主催の「岩井渓一郎フライフィッシング・スクール」が行われていた。つまり、貸し切りであり、ボクは釣りはできない。昼頃であり、昼食はどうしようかなと思っていたら、齋藤さんの奥さんが「簡単なスパゲッティくらいなら作りましょうか」と言ってくれたのには驚いた。普段は食事は出していないとのことだった。とてもおいしいスパゲッティだった! 天気も良かったので、齋藤さんのすすめで、国道194号線ぞいの桑瀬川で釣りをすることにした。ここもいい川だったなあ。水質は緑がかっていて透明度が高く、川底は小石だった。ボクはすっかり嬉しくなり、ポイント毎にフライを投げていった。何度かフライに出たが、チビのようでフッキングしない。そしてある流れでライズを見つけた。慎重にアプローチしてキャストすると、なんと魚は空中でフライをくわえたのだった。寄せてみると、カタは小さいが、とても綺麗なアマゴだった。 夕方まで釣って、木の香温泉に入った。すると脱衣場に岩井渓一郎さんとY城さん(つるや)が現れたのだった。そして、この日の晩は齋藤さんを交えて4人で宴会ということになった。ボク以外の3人は仕事の打ち上げであり、それにボクが飛び入り参加したかっこうだった。 いやあ、よく飲み、よく食い、よくしゃべったなあ。岩井さんは酒が入ると饒舌になり、とても楽しかった。岩井さんは上機嫌であり、スクール用に巻いたフライが残っているので、ボクにくれるという。これはありがたかった。 そして、宴会の後は齋藤さんの奥さんがボクを木の香温泉まで車で送り届けてくれたのだった。ボクは〈こりゃあいかん。お世話になりそうだったのでフライフィッシング用語辞典をプレゼントに持ってきたのだが、去年出したハルフォード本も後で送ろう〉と思った。 こんなふうで、釣りの1日目が終わっていった。中野川川以後、桑瀬川