スキューズの「フライに対する鱒の行動」の校正刷りがやっと印刷会社から送られてきた。本のページ数が多いので時間が掛かったようだ。校正刷りはページのレイアウトがほどこされていて、本の体裁の基本部分である。
このところ暑いし、外に出るのがうっとうしいので、校正に打ち込む事にした。
文章を読み直し、誤字脱字を訂正し、分かりにくい部分は分かりやすいように文に手を入れ、統一性を保つために初出の固有名詞のあとには原語を入れ、さらにはレイアウトを修正する作業を進める。
文章に手を入れて読みやすくするわけだが、勝手に書き換えて原語の意味を変えてしまってはいけないので、その都度、原著を読み直して文章を作り上げる作業を続ける。この、無駄をはぶいて、文章を読みやすくする作業を英語でブラッシュ・アップbrush up(ブラシをかける)といい、身なりを整える、磨きをかけるといった意味になるだろう。この作業をちゃんとやるかどうかで文章のデキが決まってしまう大事な作業だ。
ボクの場合、学術文に長く携わってきたので、著者の言いたいことが「正確」に読者に伝わるように文を書くように心がけてきた。これは簡単なようで、けっこう技術がいるものであり、練習・訓練を受けないと上達しない。そう言えば、「リバー・ランズ・スルー・イット」という映画で、子どもが父親に何度も文章の書き直しをさせられる場面が出てきたな。アレが必要なのである。
手間をかけてこそいいものができるのだから、手抜きはできない。