誘われて白馬に行ってきた。10年ほど前から白馬村でペンション兼イタリアン・レストランを夫婦でやっているY田さんという人が居て、本人も奧さんも大の釣りキチだ。宿泊客にはいい釣り場を教えてくれ、時にはガイドもしてくれるので、大物イワナ釣り師には評判の宿になっているようだ。行く前にネットで調べると「白馬の山猿」というブログをやっていた。
土曜は夕方に着き、実績の高い場所を教えてくれた。そこは大物の雰囲気は満々だったが、ライズはなく、からぶりに終わった。
夕食はイブニングライズまで釣ってきた釣り師のために遅い時間に作ってくれる。その料理がまことに旨かった。ことにチーズを塗って焼いたパンに特製ソースを載せて食べるヤツが香ばしくて旨かった。
夕食の後は釣り客がリビングに集まって、酒を飲みながらの釣り談義となった。僕は話題提供のためにユースティス・エドワーズとフレッド・ディバインの竿を持って行ったのだが、めずらしい竿だし、皆喜んでくれた。
日曜、Y田さんが姫川の支流に案内してくれた。行程2キロ以上はあったと思う、かなりハードな行程だった。その日は蒸し暑くて僕は閉口した。そんなときは僕は水風呂に入る。冷たい渓流に腰まで浸かると急速に身体が冷えて汗が引き、きわめて爽快である。
「ああ、気持ちがイイ。ことにタマが冷えていい気分だヨ」と僕が言うと
「よく分かります」
とY田さんが言った。
ある時、帽子が無くなっていることに気がついた。どうやら水風呂の時に帽子を脱いでかたわらに置いたままになったようだ。Y田さんが帽子を探しに行ってくれたのだが、見つからなかった。で、途中から雨になった。雨がふって、帽子がないと雨の滴がメガネのレンズに付いて見えなくなる。また、雨具を着ると余計暑くなって汗も増え、汗は流れて目に入る。ダブルパンチとなって釣りづらくなってしまった。見かねたY田さんが帽子を貸してくれた。釣果の方は3人で釣ってチビイワナが3匹だけだった。S藤さんは尺イワナを逃がしたらしい。
5時頃、脱渓した時には雨はあがり、山里の緑がまぶしいくらいに綺麗だった。そのあと食べたアイスクリームのおいしかったこと!
これで終わりかと思ったら、また別の秘密の場所に行きましょうとのこと。行ってみると、たしかにそこはマル秘ポイントだったが、その時は水位が高く、定期的に水がドッと落ちてきて、釣りにならなかった。暗くなり、最後のポイント、堰堤下に行き、チビイワナとチビヤマメを釣って納竿となった。この時、僕は今シーズン初めて川で転んだ。やはり疲れていたんだと思う。
ここはホンモノの釣り人宿である。いい釣りをして帰ってほしいというオーナーの心意気が感じられる宿である。こんな釣り宿が日本にもあるんだなあと僕は嬉しくなってしまった。夜の中央道をひた走り、相模原に帰りついたのは12時を回っていた。身体は疲れていたが、こころは満たされていた。
また行くよY田さん、今度は大イワナを釣ろうネ。