この本、素晴らしいですね。
うちの事務所の書棚にあります。
何人もこの本を借りていきました。
やっと三好徹著の「チェ・ゲバラ伝」を読み終えた。チェ・ゲバラの本質にせまろうとよく調べた結果、詳細で信頼性が高い内容となっているため、読み進めるのにやや苦労した。 チェ・ゲバラはアルゼンチンで生まれ、医師となり、中南米での「圧政と一般人の貧苦という構図」を体験し、カストロとゲリラ活動を起こし、キューバを変えた若き革命家。新キューバでは工業大臣・国立銀行総裁となったが、その地位を投げ捨て、家族を捨てて、新たな革命闘争を求めてコンゴ、ボリビアに渡り、39歳でボリビアの山中で政府軍によって射殺された。 静かな行動の人、無私の人、澄んだ青い目、正直な人、やさしさ、にあふれていたという。この人のためなら命を捧げてもいい、と思わせる男だったようだ。三好徹は見事にゲバラ像を描いている。 澄んだ青い目の人か・・・。僕にもそんな友人が居た。東大闘争に参加し、若くして自らの命を絶った男を。顔もどこかチェに似ていた。 この本を読み、なぜ、過酷な状況を求め続けたのだろうか、という疑問が残ったが、とうてい僕のような凡人には解けそうもないが、本の中に引用されたゲバラの手紙の一節を紹介しておこう。 「芸術家のような喜びを持って完成を目指してきたわたしの意志が・・・、中略、わたしはそれをやるつもりです」 やむにやまれぬ美意識、天命・使命感に似たもの、に突き動かされ、その流れから外に出ることを潔しとしなかった頑迷さ・純粋性だったような気がする。常人に真似のできるものではない。方向は違うが、日本人では三島由紀夫と共通点がありそうな気がする。 ヒーローが求められている現在、チェ・ゲバラは恰好のヒーローだろう。だがね、命をかけなきゃあヒーローにはなれない。それも自分の為じゃなく、しかも、1回じゃなく、何度も、何度もね。この本を読み、そんな人が本当にいたんだ、という深い余韻が僕に残ったのだった。 チェ・ゲバラ伝、三好徹、原書房より引用 |