今日は今年の渓流釣り最終日であり、しかも水曜日でボクの定休日。釣りに行かなければ(釣りの神様に)申し訳がない。 で、朝クリニックに行って釣りの準備をしていると、通りかかった車の中から声が掛かった。 「先生、それナニ?」 見るとボクの患者さんで、破壊された顔を持つ、男勝りの威勢のいいオバチャンであった。「ナニって、釣り道具だよ」 「どこに釣りに行くの」 「今日が今年の渓流釣りの最終日だからね、渓流だネ」 「ああ、渓流釣りってヤマメとかイワナね。釣れる?」 ボクはややムッとして、 「さあ、釣れるかどうか、そりゃあ分からないよ」 と正直に言うと 「あらそう・・・。それじゃあ、頑張ってね」 「ウン、まあ、頑張るよ」 と答えると、彼女は車で行ってしまった。 その後、車で丹沢に向かいながらボクはこの会話を思い出して反省した。せっかく声を掛けてくれたのに、素っ気なかったかな、と。釣れるかと聞かれたことに対して、〈そりゃあ釣れるさ、ボクは名人なんだから〉とおどけて言えば笑い話になったような気がした。相手に迎合するのが苦手というひねくれた性格はどうしようもない。 相模川の橋から川をみるとものすごい増水で泥濁りだった。昨晩の雨のせいだろう。丹沢では豪雨だったようだ。状況は中津川、道志川でも同じだった。これでは釣りは無理だった。あちこちで彼岸花が満開だった。 川岸の山道を歩いていたらヤマイモのむかごが目に入った。おう、もうそんな時期かと思い、むかご採集に切り替えた。むかごはね、フライパンで油でいためて塩を振るだけで、なかなかいい酒の肴になる。 |