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2010年10月19日(火) 
 今日、外来で、いつも来ているオジサンが、脇の下を見せて、
「先生、ここに疣ができて取ってほしいんだけど」
と言う。
「うむ、確かにあるねえ。放っておいてもいいんだけどなあ。皮膚科で冷凍してもらった方が楽だけど。取ってほしけりゃあ、取るのは簡単だけどね」
というと、別の病院に行くのは嫌らしく、
「取ってください」
と言う。

で、局所麻酔で切り取ることになった。手術は極めて簡単であり、メスで切り取って4針ほど縫うだけ。やっている最中に面白いことを言う。
「先生ねえ、私は切られ与三郎なんですよ。これまで8回も手術をした」
「ほほう、切られ与三郎ねえ、なつかしい言葉を聞くなあ」
局所麻酔をする。
介助をしていたO形君というナースに
「知ってる?切られ与三郎って」
と聞くと
「いいええ、知りません。聞いたこともないです」
「ええっ、知らない!それじゃあ”お富さん”って歌も知らないの?」
「知りませんよ(私は若いんですからと言いたそうだった)」
メスで疣ごと皮膚を切り取る。
オジサンがちょっと歌った。
「粋な黒塀、見越しの松に、あだな姿の洗い髪・・・」
「おう、春日八郎ですナ」
皮膚を縫い始める。
「O君は春日八郎は?」
「それも知りません」
僕の手は動いていて、最後の縫合が終わった。
という具合で、おしゃべりしている間に手術が終わってしまったのだった。

お富さんと言えば三国連太郎が出演した「息子」という映画を思い出す。
オヤジが雪深い里の家で、一人で、お富さんを切れ切れに歌いながら何かやっていたシーンがまざまざと思い出された。
いい映画だった。

閲覧数494 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2010/10/19 17:59
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