鎌倉の七里ヶ浜に、もう長い付き合いになった友人が住んでいて、忘年会に呼ばれ、行ってきた。彼は79歳になる物理学者であり、欧米にもよく出かけて活躍している半現役である。温和かつ闊達な方で、博識であり、ドイツ語、ラテン語に強く、これまでいろいろお世話になってきた。彼の奥さんのM智子さんはボクの小学校の同級生であり、鎌倉交響楽団のヴァイオリニスト。だから彼女も博多生まれであり、小学校の頃、彼女と一緒にヴァイオリンをひいたこともある。そして、彼の弟さんとボクは同い年であり、北里大学で共同研究をしていた親しい友人だ。この3人にボクと家内の5人での忘年会であった。 M智子さんの手料理がおいしかったなあ。石川のサバのヘシコ、大津の鮒ずし、タイの刺身、カキとエビのフライ、博多の水炊き、シトーレン(ボクが持参)、フランスのチーズ、紅茶、が出た。 酒は選ばれた日本酒数本、スタンダードという名のウオッカの高級品。 大いに食い、飲み、かつしゃべった。 お兄さんには今年ずいぶんお世話になったので、クリスマスプレゼントを持参した。それはライヨールのレターオープナーで、とても気に入ってくれた。ところが問題が一つ生まれた。そのレターオープナー、M智子さんもとても気に入ってしまったようなのだ。 「いいわねえ、すごくしゃれてる。使いやすそうだし」 といかにも欲しそうなのである。ダンナは 「これは僕がいただいた物だから僕が使うの。あなたは持っているでしょ、ウイーンで買ったやつを」 考えてみたらこれまでM智子さんからはボクはいろんな物をもらっている。だが、ボクが彼女にプレゼントしたことはない。そうかあ、じゃあ、ライヨールのレターオープナーで違ったデザインのもあるから、今度、彼女の誕生日にでもプレゼントしたほうがよさそうだな、と感じたのだった。 それにしてもよく飲んだなあ。ウオッカが効いた。最後はフラフラになり、疲れてもいたが、車の後部座席に座ったとたんバタンキューと熟睡してしまった。 M智子さん夫妻が北イタリアで買ったシュナップスのグラス。ガラスの凹みにガラス細工で作った果物がはめ込んである面白いデザイン。 |