1日の水曜日、静岡新聞の取材があったので狩野川に出かけた。僕と森村さんと二人で狩野川について熱く語るというもので、記事は8月23日の静岡新聞東部版に掲載予定で、ネットではhttp://www.at-s.com/news/detail/100132348.html で動画が見られるそうだ。 取材には静岡新聞東部編集部長のK内さんが来ておられ、午後1時から本谷川で行われた。ボクはこの場所は初めてであり、渓相がいいのですっかり気に入ってしまった。水温を測ると16.8℃と冷たい!ヤラセ風の内容だが、スティール写真、動画をとって、お仕事は終わった。この時の短時間の釣りで、ボクには1回だけアマゴがフライをつついたが乗らず、森村さんは1匹を釣った。さすがであった。K内さんはフライフィッシャーマンであり、前からボクのことを知っていたそうで、取材では、なぜフライを始めたか、ボクの小さいときの話など、取材に直接関係なさそうなことをたくさん聞かれた。 3時すぎには取材はおわり、森村さんは仕事に戻っていった。ボクは本谷川の上流部で釣ることにした。アマゴが1回出たが、なんと合わせ切れとなった。その前にフライが木の枝にからんだりしたので、そのとき、ティペットが傷ついていたんだろう。その後まったく出ず、新しい足跡を見つけたので引き上げることにした。暑くてね、道の駅でわさびアイスを食べた。たっぷりワサビを塗るもんだから辛そうだったが、それほどでもなかった。夕方になり、取材場所に戻って最後のチャンスに賭けた。だが、虫も飛ばず、ライズもなく、釣れなかった。久しぶりに真っ暗になるまで釣りをした。 帰り道、8時前頃ごろだったか、修善寺大橋を越えた頃から道にたくさんの人が出ていた。「柳光亭」という鰻屋に着いた頃、パン、パンと川のほうで花火が上がった。その夜は花火大会なのであった。花火の横には満月が出ていた。花火を見ながら鰻を食うのもオツだと思って、鰻屋では窓際に座った。給仕のオバさんが「そこは虫が多いですよ」と言ったが、「いや虫は気にならないし、花火をみたいからね」と答える。見るとテーブルの上には小さな虫がたくさんいたが、よく見るとカゲロウのスピナーだった。ボディの赤っぽいものやらオリーブ色のもの、サイズは22~26番サイズと、数種のカゲロウが居た。鰻が運ばれてきて、オバさんが「やっぱり虫が多いですね。だいじょうぶですか、奥の座敷も空いてますよ」「いやいや、大丈夫。この虫はよく知ってるし、人間には害を与えないんだよ」と言うと、けげんな顔をしながら戻っていった。一般人にはカゲロウも蚊もゴキブリも同じムシのようであった。 食事を終わり、外に出ると、鰻屋の行灯風の看板にたくさんのカゲロウが集まっていた。それは驚くほどの数であり、これが上流部で出てくれていたらいい釣りだったのにと思った。それと、もうちょっとネバれば良かったのかなとも思った。 帰り道、ボクは何か嬉しいことがあったようなハッピーな気分になっていた。魚は釣れなかったが綺麗な渓相だったし、花火を見たし、カゲロウもたくさん見た。気分良くリズ・カーライルを聞きながら帰路についた。編集長はなぜフライフィッシングを長く続けてきたのかとボクに聞いたが、答えは”これ”なのだ。”この気分”なんだが、”この気分”を文章にすることは難しいな、と思った。