4月26日(日)、晴れ。朝は7時半に起きてホテルの部屋の遮光カーテンを開けると、真昼のように明るい陽射しがドバッと差し込んできた。相模原と清水町はたいして緯度は変わらないのに、ここでは夏の陽射しが始まっているような感じだった。
この日も暑くなりそうだし、標高の高い沢筋に入れば涼しいだろうと思った。伊豆縦貫道で大仁に行き、時間に余裕があるので、農の駅に行った。目的はワサビのヒゲ根を買うこと。10日程前に農の駅に初めて入ったんだが、その時ワサビ製品のタナにワサビのヒゲ根が売っていた。直径20センチメートルくらいの袋にぎっしり入っていて300円ほどだったろうか、安いものだった。ワサビとして食べるのは根茎(根と茎の間の芋の部分)と言われる部分であり、根茎の周りのヒゲ根は切り落として捨てられると思っていた。ところがそれが売っていたのだ。
販売の人に聞くと、ワサビはどの部分も食べられますよ、ヒゲ根もね、小さくきざんで味噌にあえるとおいしいですよ。売りに出るのはめずらしいですね、とのことだった。その時ヒゲ根を買い、家で粕漬けにしたら、これがなかなかの味であったので、今回農の駅に寄ってみたが、ヒゲ根は売っていなかった。
その後、コンビニに寄って昼食用のサンドイッチとコロッケを買い、昨日行った沢筋に向かった。今回は弁当を持ち、かなり歩いて入渓した。
相変わらず、チビアマゴの襲撃が多かったが、あるポイントでバシャとまともなアマゴが出た。下流側に走られたがなんとかランディングしたのは22センチメートルのとても美形のアマゴだった。僕は嬉しくて何枚も写真を撮った。理想的な状況で、ドライフライで、そして理想的なアマゴが釣れ、これ以上のことが世の中にあるだろうか、と思った。〈もう釣りをやめてもいい〉なんてセリフがチラリと浮かんだくらいだった。だがネ、”簡単にやめてたまるか、この遊び”なのである。
4時半には大見川のライズ・ポイントに行った。すると先客が居て、ルアーマンだった。僕がライズ待ちの体勢に入ってしばらくしてそのルアーマンは帰って行った。そして、その日のイブニングでは、7時10分まで釣ったが、モンカゲロウを含めてたくさんの虫が出たのにアマゴのライズはほぼゼロであった。ライズが無かったのは、僕はルアーマンのせいだと思っている。慣れた人がすべてのポイントルアーを振り込んで引っ張れば、魚が釣れなくても、寄ってきた魚の顔や背中にフックが触って脅えてしまうことは十分考えられるだろう。
この日はY田さん、M村さん、N洞さんたちと一緒に晩ご飯を食べることになった。例によって釣り人の話は尽きなかったが、僕は相模原まで2時間近くかかるので、9時にはお開きにした。
今年は狩野川によく通った。残念ながら大きなアマゴは釣れていないが、この日釣ったアマゴは最高の美しい獲物であり、僕はとても満足している。