「朝日のあたる家House of the Rising Sun」という歌はイギリスのアニマルズが1964年に歌い、アラン・プライスのオルガンとも相まってたちまち広まり、あっと言う間に大西洋を越えてアメリカでも大ヒットとなった。名曲の仲間入りをして、その後に続くフォークロックのさきがけとなったわけだが、歌にはそれなりの歴史、紆余曲折があったようで、紹介しよう。
ウィキペディアによれば、この歌は16世紀の「放蕩者の末路」というフォーク・バラードに似たところがあり、1900年代の初期には炭鉱労働者の間で「ライジングサン・ブルース」と呼ばれて歌われていたらしい。1930-40年ごろにはケンタッキー東部などで録音され、ピート・シーガー(1958)、フランキー・レイン(1959)、アンディー・グリフィス(1959)が歌ってレコードが作られた。
1960年にはジョーン・バエズが歌い、ボブ・ディラン(1961)も続いたが、悲しい嘆き歌であり、当時は特にヒットしたというわけではなかったようだ。
そして1964年、アニマルズが新たなバージョンを歌い、大ヒットとなった。逸話が残っている。ボブ・ディランはアニマルズの歌を聞いて、すっかり気に入って衝撃を受け、その後自分では歌わなくなったそうだ。
僕はもともとどんな歌だったかを知りたくて今回調べたわけだが、どうやらジョーン・バエズのものがオリジナルの歌にもっとも近いらしい。
で、例によってYou Tubeで検索すると以下の物が見つかったのでお聞きあれ。
アニマルズのバージョンはドラマチックに出来ているが、バエズの歌はあくまで静かなバラードである。こっちのほうを好む人も少なくないようだ。僕は古くからのバエズのファンであり、”聞かせる”こっちの方に軍配を上げたいのだが・・・。
また、アニマルズ版では放蕩男の歌になっているが、古い曲では売春宿に身を落とした女の歌であった。後者のほうが理解しやすいように思っている。
このYou Tubeの動画は新しく作ったものだが、歌は1960年録音のオリジナルであり、音質がいい。
https://www.youtube.com/watch?v=rD80eZ6Gxz0
ところで、僕はたいした枚数ではないがレコードを持っていて、ときどき思い出しては聞いている。今回探してみると、あったあった、ジョーン・バエズのLP、1960年盤「ジョーン・バエズ ゴールデンアルバム」があった!で、ジャケットの写真をお見せしよう。その中に、当然ながら、「朝日があたる家」が収めてあったのだった。