6月6日(日)。平地の自然渓流は釣れない時期になってきた。鮎が入ると途端にヤマメ/アマゴは釣れなくなる。これは鮎の群れの勢力が強く、ヤマメ/アマゴはおびえて隠れてしまうからだと言われている。また、水生昆虫の羽化は朝夕の暗い時間へと移行するので、昼間は釣れなくなる。自然、この時期には鱒釣り師の足は源流部や、東北・北海道に向かうことになる。やはり、昼間の明るい時間に釣りたいからネ。
だが、遠出となると何かと準備もあるし、前もって予定を組んでおく必要がある。そんなときに1日だけ休みがとれて天気もいいとなると、管理釣り場に行くということになる。
というわけで、行き慣れたうらたんざわ渓流釣り場に行った。昼過ぎに着いて釣り支度を済ませて川を見ていると、ある男がニコニコしながら近づいてきた。誰かなと思って見ると、なんと田中山のK木さん(焚火男)であった。彼とはついこの間、栃木に一緒に釣りに行ったばかりだった。
「やあ、偶然ですねえ、ポカッと1日空いたもんですから。世附かウラタンか迷ったんですが」
と言う。
「僕もね、養沢かウラタンか迷ったんだけど」
彼は昼前に来ていて、すでに数匹のヤマメを釣っていた。
そして二人で上流部のヤマメクラシックへ向かった。さすがに魚はかなりスレていて、フライを見にはくるがくわえない。それでも彼は何匹かを釣ったが、僕の方には釣れてくれない。また今日もダメか、と思い始めたころ、滝下の大淵で僕のフライに大物のニジマスが出た!魚体は良く見えていて50センチはあったと思う。彼はリールの逆転音を鳴らしながら淵じゅうを走りまわった。ティペットは7Xだし、キビしいなあと思い始めた頃、フッと軽くなって、ティペットが切れた、アア・・・、天をあおいだ。
その後はなぜか釣りは低調だった。暗くなり始めても虫が飛ばないし、ライズも少ない。かなり暗くなり、他の釣り人はほとんど引き上げてしまった頃、突然ライズが始まった。あまりに暗くて飛んでいる虫は見えなかった。ただ、大きなフライでも面白いように釣れた。流して食わなければフライをにちょっとアクションを加えれば釣れた。そして、このライズは30分くらいでピタリと収まってしまった。
イブニングライズを釣った場所はキープエリアであり、僕は魚を何匹か持って帰るように頼まれていたので、ヤマメを3匹キープして持ち帰った。クリニックで胃の中を見ると、なんとモンカゲロウのスピナーがたくさん入っていた。あのライズはモンカゲのスピナーフォールへのライズだったのだ。そうだよね、6月はモンカゲの季節ではあるがスピナーフォールに遭遇することは珍しいし、僕にとっては初めだと思う。
川に通っていればいろんなことに遭遇するものだ。