前回のトンネルの写真にトトロが写っていることが判明し、たくさんの反響があったようなので、ここで改めて宮崎駿作品に触れたいと思う。 代表作は何と言ってもトトロだと僕は思う。ナウシカ、ラピュタ、千尋もいい。それ以外のも見ているが印象に残っていない。やはりトトロが名作だろう。子供の持つ好奇心、不安、驚き、空想力、喜び、を生き生きとした描写力で描き上げた作品は映画史上いや児童文学史(?)上、燦然と輝いている。オリジナリティーはきわめて高い。そう言えばバアチャンも良かったな。 僕は北里大学の入学試験の口頭試問をやっていたが、その中で、「君はトトロ(の映画を)を見たか?どう思った?」と聞くことにしていた。 医学部の受験生は口頭試問で聞かれる質問を予想していて、その答えを準備している人が多いし、短時間の口頭試問で受験生の人となりを知るのはとても難しい。また、医学はサイエンスだが、医師はサービス業のようなものなので患者さんのニーズに応じて幅広い対応能力が要求される。できれば、文学やアニメにもあるていどの理解をしてもらいたい、とも思っている。つまり、受験生の人間の幅、感性の幅を見るためにこの質問をするわけである。「トトロを見たか?」と聞くと、受験生は必ずびっくりする。いろいろ意見を言ってくれれば、社会適応能力の評価は上がるというわけだ。もう、2007年の段階ではこの質問は時代遅れだろう。1988年の公開作品なので、現在の受験生は赤ちゃんの頃なんだから。見ていなくてもおかしくはない。 もし、「見たけど、あんな子供のアニメのどこが面白いの?」と言う人がいたら、僕はあまりお付き合いをしたくないな、と思うかもしれない。 |