長野県白馬村にペンション+和食堂「山や」をやっている男で、イワナ釣りではもはや有名人になってしまったのが山田勝治さんであり、”白馬の山猿”と言った方がわかりやすいかもしれない。 山田さんは秋田の阿仁マタギの出身で、あちこちを釣り歩いていたころに白馬村に立ち寄り、持ち前の体力・脚力を生かして釣りまわり、白馬近辺がイワナの宝庫であることを知り、惚れ込んで、ついには白馬に移住してしまった人だ。 さすが自分の足で釣り場を開拓しただけあって、彼の情報は正確であり、僕も8年通っていまだにボウズがない。51センチメートルのイワナを釣ることが出来たのも、彼のおかげだ。 そろそろ僕もいい歳になってきて、長時間のドライブ、険しい渓谷歩きはつらくなってきていて、今年は白馬に行くかどうしようか迷っていた。で、山田さんに問い合わせると、楽なところもありますよとのことで、行くことにした。 7月22日(土) ペンション「山や」にて この日、いざ釣りに出ようと準備していたら、大事なフライボックスを忘れたことに気がついた。まいったなあ。そこで山田さんに泣きついてドライフライを5~6本借りた(半分もらったつもりになっていた)。 「山や」から、延々1時間半、深山峡谷の崖の道をドライブした先に釣り場があった。途中、野生の猿の群を見た。水はやや多めでうす濁りだった。休み休み釣り上がり、22~28センチメートルのイワナ、6匹が釣れた。皆、色白で、ほっそりしていて、若い女を思わせるような体型だった。魚は綺麗だし、思わぬ好釣果で、来て良かったと思った。 夕方はペンション近くの堰堤で4匹釣り、ツ抜けになったところで、もう十分だと思い、この日の釣りを終えた。 夜は宴会。N居田君、T橋さん、S浦君、S山君、フトシ君、九州から来たN村さん、それに山田さん、僕を入れて8人も居た。だいぶ、飲んでしまった。 23日の朝食の時、山田さんが、 「あのー、昨日貸したフライを返してほしいんですが・・・」 と言う。 「ありゃあ、そうだったなあ。僕はこんな具合にしてフライのコレクションをしてるんだけど、あれは実用的ないいフライだし、もらっちゃってダメかなあ」 と言うと、 「ま、2~3本巻けばいいんで、いいですよ、あげましょう」 と言ってくれた。僕は内心、ヤッタァと思った。”白馬の山猿”フライがコレクションに加わったのだった。 この日は朝から雨であり、釣りをする気にはさらさらならず、余裕をもって早めに白馬を出発することにして、帰路についた。 けっこう疲れたが、頑張って白馬に行ってほんとうに良かったと思っている。この次には、山田さんに旨い酒でも持って行かなくっちゃあ! |