最近、ひとつ、決めたことがある。それは「フライフィッシャーの昆虫学」という本の増刷(重版)だ。この本は2011年にカワノ・ブックスから発行し、売れ行きが良く、その年の内に完売となったもの。
その後、この本を読みたいが、在庫はないかという問い合わせがかなりあった。また、増刷の予定はありませんか、という問い合わせも来た。売り切れ後、アマゾンの出品欄では高値で売られるようになり、いつしかそれらも売り切れたようで、出品欄は空欄になっていった。
この本の評判はいくつも聞いた。
「古典中の古典ですね。とても興味深く読みました」
「フライフィッシングのバイブルだと思います!」
「あんな人が居たんですね、日本の江戸時代と同じころに・・・」
「図版が綺麗ですねえ。あれを見られただけで幸せです」
「綺麗な本ですねえ」
「有名な本なので原書が本棚にありますが、ちゃんとは読めていなかったんですよ」
等々。
評判が良ければ、すぐに増刷すればいいような物だが、出版側にとってはそう簡単にはいかない。増刷しても、たくさん売れるわけでもないだろうし、100部、200部を印刷すると、単価は高くなり、4000円前後の定価になってしまう。初版は2000円だったのでよく売れたのかもしれないし、それが4000円になるとどうだろうか?こんなわけで増刷を見送っていた。
ところが、最近、僕の頭の中で何かが切り替わった。読みたい人がいるのにその本を提供しないのはおかしい。たいして儲からなくても、損をしない程度であれば、本を出すべきじゃないだろうかと。中古書店で買えば1万円以上するだろうし、今回4000円で出れば買いやすいんじゃないだろうか。カワノ・ブックスとしては在庫を抱えるようになるかもしれないが、それでもいい。僕は裕福ではないが、貧困者というわけではなく、そこそこの余裕のある生活が送れている。そして高齢となり、病を得て、元気で居られる時間も長くはなさそうである。せっかくのすばらしい本だし、一人でも多くの人に読んでもらいたいと思うに至ったのである。
そんなこんなで、エイヤッと気合いを入れ、増刷に踏み切ったしだいだ。あそらく300部限定出版ということになりそうだ。
増刷する以上は初版の誤字・脱字を修正し、巻末に「所感」ぐらいは入れて改訂版にしておけば価格も上げやすい。出来上がるのは年明け早々くらいかな。乞ご期待!