あるとき、古い釣友が
「先生は用語辞典を書いたし、先生しかできない釣りの古典の翻訳出版もしたし、あとはこれまで雑誌やなんかに書いてきた釣りの文をまとめて本にするだけですね」
と言った。
「そうか、そうなるかなあ」
と答えた。〈ボクもいつかは自分の釣り人生の総まとめのような本を作りたい〉と考えていたので、背中を押されたような感じだった。元気なうちにやっておかないと、いつ体調が崩れ出すか、71歳という歳を含めて、予断を許さない状況もあるのだから。
そこで、動き出したのは2ヶ月ほど前のことだ。
まず、原稿を集める作業から始まった。これまでに書いた釣りの文は長短合わせると130個ほどあった。そのリストから本に入れるべきものを、迷いながらも40個ほどを選んだ。もし既成の出版社に本を出してもらった場合は文の数は15-20個くらいになるだろう。それに対して自分で本を出せば自由度が大きいので、この作業の段階からカワノ・ブックスから出すことに決まっていった。
そして、本には第2部として、釣魚ノート、ボクの釣具や釣り方を書き加えることにした。また、少年時代や青年時代を含めた個人史もすこし入れるようにした。
本にする価値があるかどうか、ボクは率直な意見を聞きたかったので、原稿を二人の友人に送って読んでもらった。すると、お二人とも、是非出してください、出版する価値はじゅうぶんあります、と言ってくれた。出版する価値はないと言いにくかったとは思うが・・・。まあ、そこの所は、勝手に良い方に解釈させてもらった。
第2部以降の評判が良かったのはすこし驚いた。〈あんなことを書いた人はいませんよ〉と言ってくれた。ま、自費出版だから、言いたいことが書けたからね。
と、これが現在の時点である。題は「ある毛鉤(フライ)釣り師の足跡(仮題)」を考えている。
次の作業は写真選びだ。これは膨大な作業になることがわかっていたので、しばらく放っておいたんだが、昨日・今日、やっと重い腰を上げた。
1980年代から2005年ごろまでは銀塩写真であり、リバーサル(ポジ)フィルムがフィルムケースに納められている。そのケースは70個ほどになっている。1個にはポジフィルムが500枚ほど入っているので、合計のフィルム数は約35000枚だ!そこから本に載せる写真を選び出すわけで、現在作業中である。
2005年ごろ以降はデジカメに移行して、こちらも同じくらいかそれ以上の数の写真があり、そちらからも選ばなければいけない。
いつになったら終わる事やら・・・