6月17日(日)。
今日も朝からカラリと晴れ上がり、空気は澄んでいた。なにやらペンションの前に人通りが多い。聞くと、今日はペンション村内の道路を使って自転車レースがあるという。僕は初めて自転車レースというものを見たのだが、とても静かで、"クワイエット・スポーツ"と呼ばれていること知り、確かにそうだと実感した。
今日は旅行の最終日、さすがにだれも釣りに行こうとは言わなかった。じゅうぶん釣りをしたし、安比から神奈川・静岡までは遠い。小口・清水組は新幹線で帰京。
旅行中は晴天に恵まれ、皆、赤黒く日焼けしていた。誰も病気もケガもしなかったし、全員に魚が釣れたし、おまけに尺イワナも釣れた。さまざまな人に出逢い、おいしいものを食べ、快適な宿にとまった。いい温泉にも入った。毎晩、酒を飲み、笑い、釣りの話をした。これ以上、何が必要だったろうか?まさに、100パーセント、パーフェクトだった!(200パーセントという言い方もあるようだが、まあ、そう言ってもいいが)
岩手の渓には何というか、懐かしさ、といったものがあるように思う。村人は親切だし、他の釣り人にはめったに出会わない。川にはあまり人の手が加えられていないので、木が川に覆いかぶさって釣りにくいが、それは川が自然のままに残っていることの裏返しなのである。そして、その分だけ水生昆虫も豊富であり、魚がすみやすい環境が残されているのだから。
早池峰山の川はやや深い渓谷だが、丘陵地の川は里川であり、その里川でヤマメやイワナが釣れるのも嬉しい。
帰りの車の中では、happy tire(幸せな疲れ)を感じつつ、この数日間に起こったたくさんの出来事が思い出され、それに圧倒されながら、全員が〈また岩手に来たい〉と願っていた。
今回の、賢治の故郷イーハトーブでの釣りは、僕にとって生涯忘れることのできないものとなった。
最後に、この旅を代表する、僕の脳裏に強く残った1枚の写真を選んだ。
-おわり-