僕の古い釣友が伊豆の田中山に住んでいる。そこは標高が数百メートルと高く、三島・沼津の町が一望でき、富士山も正面に見える絶景の地である。
彼は10年ほど前にそこに移り住み、自然の中で悠々たる生活を開始したのだった。庭には烏骨鶏を飼い、毎朝、烏骨鶏の卵を食べている。羨ましい限りである。
その彼は田中山に引っ越してから
「焚き火をやりましょう、デカい焚き火を!ここなら周りを気にせず遠慮なく焚き火ができますから」と言う。彼は建築設計士なので廃材は容易に手にはいるらしい。
そんなわけで焚き火会が始まった。最初は2-3人で始めたのだが、だんだん参加者が増え、多いときは15人くらいの時もあった。焚き火会は、毎年、禁漁になって10月にやるのが恒例となっていった。
直径1~2メートルくらいの大きな焚き火をやり、周りには椅子を並べてすわる。思い思いの酒と肴を持ち寄り、焚き火で肉やソーセージを焼いて、食いかつ飲んで、話はもっぱら釣りの話になる。日頃は顔を合わせない人とも、この焚き火会で年に1度会う、なんてことも起こるようになった。酔っぱらって、その夜は離れにゴロ寝ということになる。
焚き火と酒、これは自然を愛する男達にとっては嬉しいものだ。ただ黙って炎を見ているだけで心が安らぐ。
今年は8人の中年男+1名の女性が集まった。
よくまあ、話が尽きないものだと感心するほど釣りの話は続く。もちろん、世間話も出る。今回はキャノンG7というカメラの話で盛り上がったナ。
僕の釣り道具のコレクションを、僕が死んだ後どのように分配するか、で盛り上がったときにはちょっと困った。おいおい、そんなに早く殺さないでくれよ、と言いたかったナ。