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2009年03月31日(火) 
フライの選択 Choice of Flies

 適切なフライを選ぶためには、フライフィッシングの技術の中でもっとも高度な判断力、経験、忍耐力が必要です。初心者は釣りの実践の中で、後述の章で述べることがらや他の本を読んだだけでは、使うべきフライを決められないということが分かってくるでしょう。なぜなら、ある虫(前者において)がある季節に出現すると書いてあっても、その虫が毎日出現するとは限らないのです。虫の出現は温度や湿度などの天候から強く影響を受けるからです。だから、釣り人は鞘翅目またはビートルが主として暑い日に出ること、カゲロウまたはフィッシュ・フライはむしろ寒い日に出ること、グラノムなどのトビケラまたはウォーターフライは微光がさす曇った日に多いこと、双翅目やカウダングなどのテレストリアルは風の強い日によく見られ、水面に浮かぶことが多いことを知っておかなければいけません。釣り始めの時にはパーマーをストレッチャーに使い、それから1ヤード4分の3離してその日にもっとも適したフライをドロッパーに使うのがいいでしょう。このシステムを変えないで釣りを続け、どのフライに魚が反応するかを見極めたら、その時点でフライを変えるようにしてください。パーマーはすべての季節で有効です。それは、よく肥ったご馳走なのですから。
 天候や水質(濁りの有無)がどうであれ、フライフィッシングの成功は魚が最後に補食した虫に色やサイズがよく似た良いイミテーションを提示できるかどうかにかかっていることを忘れないでほしいのです。フライの形が正確に虫に似ているかどうかは、色と同じく、それほど重要な事ではないようです。なぜなら、虫の形は水中や水面上などの虫の位置によって変わるからです。一方、水の透明度が高い場合には、小さなフライがよく使われます。理由は、その状況では魚はイミテーションであることを見破りやすいし、小さな虫のイミテーションは作りやすいからです。小さなフライの場合、色を似せるということはそれほど正確である必要はありません。
 フライを川に投げたとき、フライが生きものに似ているということを魚に印象づけるように試みるべきです。このことを巧くやる一番いい方法は、まず、フライをクロスおよびダウンストリームに投げたあと、竿を川岸と平行に保持して、いつでも合わせられるように構えておきます。流れは水面上のラインを押し流し、フライは流れ下りながらも釣り人側に向かって流れます。これは自然の羽虫が水面でもがいている動作によく似ているのです。
 フライを靜かな水面に投げたときには、(1秒か2秒の後に)軽くひょいと引く動作を繰り返してください。1度にフライが1-2フィート動けば十分なので、それ以上大きく動かす必要はありません。
 フライをバズbuzz(ぶんぶん動かす)させることを好む釣り人もいます。つまり、虫が翅をパタパタさせる様子をまねて急激にフライを動かすのです。一方、虫が静止しているときの翅に似せたウィングをフライに取り付けて成功している人もいます。おそらく、釣り方の違いによってフライの作り方の違いが出てきているように思われます。ダウンストリームに釣り、自分が立っている岸際を釣る人は、自分に向かってフライを流れの中をさかのぼらせたり、フライに何らかの動きを与えたりしますが、そのような釣り人にとってはバズ・フライ、それは3歳のコック・ハックルでできていますが、がもっとも適しているでしょう。それは翅をパタパタさせているようすを模倣するのに適しています。注1。

 注1.ハイド・パークのサーペンタイン(または同じような川)に4月の暖かい夕方に行ってゴールデン・ダン・ミッジ(第Ⅳ章、No. 10、訳者注:ユスリカ)が幼虫から羽化した直後の動きを注意深く観察したら、この類似性を納得することができるでしょう。このユスリカは(飛び立つ前に)ぶんぶんと水面のすぐ上を数ヤード飛び、その様子はバズ・ハックルにそっくりに見えるのです。

 一方、本物の虫の翅に似ていて部分的に水に沈んでいる人工の翅は、もっと靜かなスタイルの釣りに適しているでしょう。
 フライを頻繁に変えるために貴重な時間が失われてしまうことが少なくありません。許せる範囲であればフライは変えない事をお薦めします。


ライズ・ショート Rising Short, &c.

 魚は水面の餌まで上がってきますが、餌をくわえないことがあり、これは「ライズショートrise short」と呼ばれます。これは本物の虫にすこしだけ似ているフライを提示したときにもよく見られるものです。
 魚はある時には集中的にライズして、10分後にはまったくライズをやめてしまうこともあります。その最大の原因は、間違いなく、ライズするべき餌がなくなってしまったからです。人には察知できないようなわずかな天候の変化でも、牛やロバや犬などの動物が感知するのと同じように、昆虫にとっては大きな環境の変化が起きていた可能性があります。
 ライズが減ったり停止したりする別の理由としては、川での水位の急激な低下があげられます。これは釣り人より上流側にある水車が停止したことが原因であることが多いのです。私は観察小屋から観察していて、水車の停止によって水位が低下したら、すぐにライズが減少するのをたくさん見てきました。そうなると、魚たちは同じ所に留まるのではなく、下流側のまだ動いている水車の下流側や止まったばかりの水車の上流側に移動してしまいます。
 川のどの部分に鱒やグレーリングがいるかは、すでに第Ⅰ章の図に示しました。そのような場所は注意深く叩き釣りをするべきです。同じ場所に2-3回も投げればじゅうぶんでしょう。
 また、釣り人が高いところに立つことを避けるべきことも指摘しました。姿勢は低く、時にはできるだけ低くかがんで釣る必要があります。ウェーディングするのもいいですが、魚が先に釣り人に気づく事がないように注意してください。ウェーディングにはスコットランドで使われている防水のフィッシング・ブーツやシェフィールドのインドゴムの胸当て付きズボンが役に立ちます。
 実行可能であれば、私たちの影や竿の影が水面に落ちないように最大限の努力をするべきです。

---つづく

閲覧数673 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2009/03/31 10:00
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