8月8日(土)の朝に成田を出て、当日の午後4時頃にウイーン着。タクシーでウイーン西駅へ向かい、ザルツブルグ行きの列車に乗り、一度乗り換えてグムンデンに行く。列車は快適だが禁煙なのがつらい。今回はグローバルセルラーという国際携帯電話を借りたので、列車内からエリカに連絡を取ると今日はグムンデンのお祭りで道路が渋滞していてグムンデン駅まで迎えに行けないという。仕方がないので、グムンデン駅からタクシーで彼女の家に向かう。ドライバーと話していると、と言っても彼は英語がほとんどできないので僕のつたないドイツ語での会話だが、今夜は花火があるとのことだった。
グムンデンはアルプス北麓にあって、トラウン湖畔の古い町で、ザルツカンマーグートという塩の道の入り口にある。ブラームスやシューベルトがよく訪れた美しい町だ。僕が最後に来たのは7年前ごろだろうか、久しぶりのグムンデンだ。
この家の2階がエリカの住まい。ベランダから湖が一望できるのがいい。
エリカ宅に到着するとM野さんという鎌倉の古い友人一家とエリカの出迎えを受けた。M野さんたちもお盆休みでエリカのところに泊まっている。その晩は多勢での夕食となり、僕とM野さんは誕生日プレゼントをもらった。ともに8月10日と12日が誕生日だったので「合同」になったらしい。M野さんの息子さんはドイツで働いていて、結婚し、子供ができ、今回家族で来ていた。びっくりしたのは5歳になるお嬢ちゃんがドイツ語でハッピーバースデイの歌をうたったことだった。こどもの言葉の上達はおどろくほど速いのをあらためて実感した。
その夜、皆で湖畔に出て、といっても10メートルほど歩いただけだが、花火を見た。たくさんの村人が出ていた。異国の、山の中の、湖に上がる花火はややおとなしかったが綺麗だった。もしかしたら日本製かなと思った。
エリカとは不思議な縁で1980年代に知り合い、僕がトラウン川に釣りに来るたびに彼女の家に泊めてもらうようになった。彼女はウイーン大学の教授をしていたが、定年退職し、現在は年金生活をしている。グムンデンの彼女の家にはこれまで5-6回は来ているだろう。今回も3泊の予定だ。
こうして旅の一日目、それも長い一日が終わった。今回の旅の前途を祝う花火になればいいなと思った。