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2010年05月11日(火) 

 ほんの1週間前、注文していたバンブーロッドができあがってアメリカから送られてきた。ビルダーはコネチカット州ウォーレンに住むウィリアム・アブラムズ、通称ストリーマー(http://www.housatonicrods.com/ )。
 ストリーマーという名のロッドビルダーをご存じだろうか?渡渉舎から「アメリカン・バンブーロッドのいままで」(原題 Casting A Spell 魔法にかけられて)という訳本が出ている。この本にはユースティス・エドワーズを中心に、ハイラム・レナードからめんめんと受け継がれてきたバンブーロッドビルダーたちの職人魂が書かれている。バンブーロッドに興味を持つ人にはお薦めの1冊だ。
 ストリーマーは「完璧さの追究」を続けてきたバンブーロッドビルダーの一人であり、現在ユースティス・エドワーズの竿をレストアできる唯一のビルダーと言っていいだろう。僕は彼のホームページを見つけ、ダメモトでメールを出してみたのは2009年の1月のことだった。そして、日本のヤマメ/イワナ用にはワンドWAND(英語で、魔法の棒という意味)が適しているだろうと彼は言った。僕が前金を振り込むとメールが来て、それじゃあリストに載せるので11月頃にはできるだろうからそれまで待ってくれとのことだった。竿がほぼできあがって最終支払いが済んだのが10月末だった。そして10月28日付けのすべて完了したというメールが来た。
 そして、10月28日以来、一切の連絡が途絶えてしまった。僕は何度もメールを彼に送ったが返事はなかった。もちろん竿は送られてこなかった。彼が急病になったり、場合によったら死んでしまったりしていたら、竿はあきらめるしかないと思っていた。そして、今年の5月7日、不意に竿が送られてきたのである。半年も音沙汰なしだったのに、言い訳の手紙も同封されてはいなかった。僕はさっそく竿到着のメールを出したのだが、その返事もまだ来ていない。
 竿はすばらしいデキだった。僕がこれまで見たどの竿ともちがう独特の雰囲気を持っていた。竿先は細く、強いスウェルバットになっていた。ブランクは特徴的な強めの火入れが成され、ブラウンカラーであり、ラッピングは丁寧だった。竿は94グラムと軽く、しなやかで、かつパワーがあった。これは初めての経験なんだが、ラインだけ竿に通して振ってみたら4-5番くらいのパワーを感じたのだが、実際の釣りでフライを付けて投げると、それは丁度3番がピッタリの竿だったのだ。「魔法の杖」とはよくぞ名付けたものだ、と思った。リールシートが特殊の形状をしていて、通常のリールは装着できない。そこで、フルーガープログレスのフットの片側を削って入れることにした。ブラスなので削りやすかった。
 ストリーマーは、このワンドはユースティスの息子のジーンやビルのテイパーではなくユースティスのもともとのテイパーなんだと言っていた。僕はエドワーズ作の竿をこれまでに何本か持っているが、まちがいないユースティスのテイパーという折り紙が付いたのはこのワンドが初めてだと思う。スパースグレーハックルが紹介してキャッツキルで大旋風を巻き起こしたのもこのワンドだったようだ。ストリーマーの話ではこれまで日本からも竿の注文があったと言っていたが、ワンドを持っている人が僕以外には何人いるだろうか?その意味でも貴重な竿だろう。
 この際と思い、これまで名竿と呼ばれてきた7フィートの竿の重量を量ってみることにした。ただし、いずれも4番ライン指定なので本当の比較にはならないが。上から軽い順。
4角と書いてある以外は6角竿。3p(スリーピース)とかいてある以外は2p竿。ま、重量だけで竿の善し悪しを判断できるわけではないので、念のため。

ビル・エドワーズ     4角  75グラム
 ウィンストン、リートルフェラー  79グラム
 ペイン98            82グラム
 カゲロウロッド          89グラム
レナード(マックスウェル) 3p  91グラム
 エデンケーン           93グラム
 ジーン・エドワーズ    3p 112グラム
 チャールズ・オービス   3p 140グラム


閲覧数1,074 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2010/05/11 16:15
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