9月19日、敬老の日、曇り。今日はアメマス釣りの日で、同行はY田さん、M口さん、K松さん夫妻で、M口さんが案内役だ。M口さんが、 「まず、割にかんたんにアメマスが釣れる所がありますので、そこに行ってみましょう」 とのことで、連れて行かれたのが漁港の桟橋だった。そんなところでアメマスが釣れるのだろうかと、皆、興味しんしんだった。釣り具を渡され、港内の水面にフライを投げ、リトリーブしてくると、2投目に魚が掛かって、上げてみたらなんと、確かにアメマスであった!40センチメートルくらいだが、綺麗な魚体であり、びっくりしたものだ。M口さんいわく、 「釣れましたねえ、良かったですねえ。今はちょっと時期外れですから、釣れないこともあるんですが。9月の初めにはここには数千匹のアメマスが群れているんですよ。そんな時には1日で50匹くらいはかんたんに釣れます」 とのこと。M口さんは道東でのアメマス釣りの開拓者と呼ばれている人であり、さすがにアメマスについては詳しい。 そして、本格的なアメマス釣りをするために音別川に向かった。道東のアメマス釣りでは茶路(チャロ)川と音別(オンベツ)川が有名だが、茶路川は釣り人が多いから音別に行くことになった。だが、音別にも釣り人がかなり入っていた。 M口さんはアメマスの付き場、釣り方を説明してくれた。M口さんはK松夫妻に同行し、ボクとY田さんの二人で下流で釣ったが、一度もアタリさえなかった。その後、移動し、M口さんと合流した。 「いやあ、ぜんぜんダメだわ。水口さんの釣り方を見せてくれないかなあ」 と言うと 「わかりました。これは僕のやり方ですが」 と言い、やって見せてくれた釣り方には感心してしまった。そこには本当の釣り師の姿があった。インジケーターは使わず、シンキング・リーダーを使っていた。川の中程まで立ち込み、メンディングを繰り返しながら、フライを深みに送り込み、最後にラインを止めて小さくリトリーブする。これを繰り返しながら下流に移動していく。それまではおとなしい靜かだった男が、急に狩人のようなまなざしで、生き生きとした躍動感に満ちて手足を動かしていて、まるで別の男が居るような感じだった。 音別川をあきらめ、茶路に移動した。だがこの日はアメマスを釣ることはできなかった。暗くなるまで釣り、川から上がるとき、美しい夕焼けが見えた。魚は釣れなかったが、満足感が残る1日だった。 |