9月23日。台風はモロに北海道に上陸したようだ。と言ってもたいした被害は出なかったようだが、河川は濁って増水し、とても釣りになる状態ではないらしい。そこで、道東で唯一、雨が降っても釣りができる川に行くことにした。そこは湧き水の川であり、川にはバイカモがしげり、ドライフライでの釣りができる。ただし、川は小さく、魚もふつうは小さく、25センチメートルどまりだ。それは西別川の源流部である。ボクが最後に西別源流を釣ったのは20年以上前のことだ。 今回同行したY田さんは今日の午後には釧路空港から静岡にもどらねばならない。また、彼は魚は小さくてもいいから、ドライフライで気持ちのいい釣りがしたいと言っていた。西別川源流なら彼の希望にピッタリだし、宿から1時間以内で行ける。というわけで、この日は西別に行くことにした。天気はくもりときどき晴れで、風は強くはなかった。 うるわしの西別川は昔と変わらずに流れていた。水は透明で、バイカモが元気にたくさん生えていた。ドライフライを投げると気持ちよく鱒が飛びだしてフライをくわえた。釣れた魚はアメマス(エゾイワナ)、ニジマス、ヤマメ。ほんの2時間ほどの釣りで二人とも10匹以上釣っただろう。特筆すべきは彼に41センチメートルの立派なニジマスが釣れたこと。こんなことはとても珍しく、あとでM口さんに話したら、それは極めて珍しいですよ、茶路川で80センチメートルのアメマスを釣るより難しいです、と言っていた。 ボクはバイカモの美しさにほれぼれして、たくさん写真を撮った。内地の川にもバイカモが生えているが、色がくすんだり、汚れていることが多い。ところが西別川源流のバイカモは色鮮やかであった。旨そうだと思ったボクはためしに数本のバイカモをとって口に入れてみた。シャキシャキした歯ごたえがあり、食べられると思った。ただし、味はほとんど無かった。おひたしにすれば十分に食べられると思う。これもM口さんに言ったら、バイカモを食べた人は居ないですよ、と言って笑っていた。 川は美しく、フライフィッシャーマンのパラダイスのような西別川源流は日本の他の地に類を見ないほど貴重であり、”日本の宝”だと思った。 釣りの後、Y田さんを釧路空港まで送った。彼は「今回の釣りはとても楽しかったです。北海道に来てほんとうに良かったと思ってます。皆さまによろしくお伝えください」と言った。 この後は、車の運転は自分でやることになる。Y田さんが帰り、今晩から浜野さんやH田さんと宿で合流だ。25日の最終日まで一緒に釣る事になる。 左から山田さん、橘さん(鱒や)、ボク.......