5月3日、ヘラブナ釣り1日目。曇り、ときどき小雨 ボクは早朝、3時45分に起きた。まだ外は真っ暗であった。ホテルの部屋でコーヒー(インスタントだが)を入れ、サンドイッチとエクレアを食べた。そして、約束の時間である4時45分きっかりには、F間先生が車でホテルまで迎えに来てくれた。 ここで、F間先生について書いておこう。この方は出雲市で歯科医院を開業しておられ、年は58歳、ヘラブナ釣りキチガイである。いろんな所を釣り歩き、今回行く秘密の湖に出逢い、惚れ込んで、釣り場所や釣り方を追究し、現在の方法に到達したもので、今回の釣りの主催者であった。この日はお仲間2人が参加し、我々を入れて総勢5人で釣りに行った。小夜さんはF間先生とは、ある人を介して知り合い、小夜さんは10年以上前から出雲に年1回行ってF間先生と一緒に釣りをしてきたそうだ。そして、小夜さんと知り合いになったボクが頼んで今回連れてきてもらったというわけだ。 この日、湖のちょっと手前の下りの坂道でボクが乗っていた車がスリップして脱輪してしまった。皆で押したが上がらず、残りの2台の車で湖に向かい、一人が残ってレッカーを呼ぶことになってしまった。やれやれ、車自体は傷んでいないようで、よかったが・・・。ボクは助手席に 乗っていたので、ちょっとヒヤリとした、な。 その秘密の湖は中国山地にあり、出雲市からは50キロメートルほど離れている山上湖だった。美しい湖であり、古くからある湖らしく、湖岸の立木も大きい。 まず、ゴムボートに空気を入れ、オールで漕いで、ポイントに向かう。4人用ボートに2人で乗るのだが、かなり狭い。ワンドに着き、岸の柳にボートを固定し、ヘラテントを張って釣りを開始した。ここではマッシュポテトが餌であり、ボクは餌の作り方をF間先生から教わって釣りを始めた。釣り方は底すれすれの深宙。浮きはF間作で、竿は10尺。 餌打ちを開始してしばらくしてアタリが出はじめたが、うまく鉤にのらない。やっと乗ったと思ったらスレだったりした。それでもだんだん慣れてきて、ポツポツと釣れ始めた。アタリはごく小さく、チクと動く程度だった。驚いたのはここのヘラブナの魚影の濃さとその大きさだった。小さくても尺を超えていて、大きいのは42、3センチメートルはあった。また、ヘラブナの引きはとても強く、魚体はパーフェクトの美しい魚だった。終わってみればボクには10枚が釣れたが、それ以上のスレ掛かりがあった。そして、のされてハリスを切られた事が3回もあり(ハリスは0.8号)、それは44センチメートルをゆうに超えていただろう。 夕方5時ごろには納竿したが、ボクは放心状態になっていた。釣り環境も、ヘラブナも完璧であり、これ以上の釣り場はないんじゃないだろうか、とさえ思った。 ふたたびボートを漕いで戻り、岡に上がったが、ボクの足はガクガクしてうまく力が入らなかった。ボートの船底は柔らかいのでふんばりがきかず、その中で必死に釣って、たくさんのヘラを掛けたので、太ももの筋肉痛になっていた。 帰りがけには自動販売機の前で皆でジュースで乾杯し、記念写真を撮った。 すばらしい釣りだった。いっぽう、掛けられなかったアタリ、見逃したアタリも多かったし、ハリスを切った大物をとれなかった悔しさもあった。ま、これは釣り人の贅沢というものだろう。それほどの良い釣りだった! 向かって左からF間先生、小夜さん、N山さん、H谷川さん、ボク