アメリカのペリー提督が日本に来た(1852-1854)とき、主目的は外交通商交渉だったのだが、ペリーは博物学の学術研究にも興味があり、日本の動植物を収集し、図を書いていて、それは1856年にはアメリカ海軍省から本として出版された。この本に日本のヤマメやイトウの図があることは知っていたが、図そのものは見たことがなかった。今回思いついて調べてみると、「ペリー日本遠征記図譜」として豆州下田郷土資料館から出版されていることが分かり、さっそく取り寄せて読んでみた。 本の3分の2は図がたくさん出ていて、なかなか面白かった。江戸時代後期にアメリカの軍艦が琉球、小笠原、下田、浦賀(久里浜)、函館に来たわけで、日本人としては(長崎を除いて)はじめて白人に接触したのだった。彼らが見た日本人、町並み、寺社仏閣の様子が描かれている。 淡水魚ではイトウ、サケ、ヤマメ、ハヤ、イワナが描かれており、イトウとサケはいいが、あとの魚はやや不正確であり、ややがっかりした。 また、本の3分の1には、ペリーの日本に対する所感、印象が述べられている。今回読んでみて、こちらのほうがずっとおもしろかった。西洋人が初めて日本人に接して、その立ち居振る舞い、習慣、儀礼、食事についての印象を書いている。 日本人が西洋人にどのように見えたかは我々日本人にはわからない。西洋人が書いた物を読むしかないわけで、それがこの本には詳しく書かれている。貴重な資料といっていいだろう。ボクもこの手の記述を読むのは初めてであり、とても興味深く読んだ。マシュー・ペリーは軍人ではあったが、学術にも貢献した、おもしろい人物だったようだ。 ひょんなことから面白い本に出逢ったので、興味のある方にはぜひ一読を勧めます。アマゾンで1000円で買えます。