以前にも書いたが、イギリスのフライフィッシングの古典の翻訳においては、オーストラリアのミック・ホール氏にひとかたならぬお世話になってきた。ことに今回のスキューズ本の翻訳では100以上の質問にミックはていねいに答えてくれた。彼の助けなしには翻訳は完成しなかったと言っていいだろう。
友人とはいえ、これだけ世話になったら何かお礼をしたい。だがお金でというのはよくない。そんなことを昨年の田中山の焚き火会で話したら、K木さんが、「ミック・ホールさんのおかげで我々日本のフライフィッシャーマンはスキューズの本が正しく読めるので、日本のファンから感謝を込めてプレゼントをしよう」と提案してくれ、みなも賛成し、一人千円ずつ出すことにしたのだった。
贈呈するものは静岡市の鈴木文夫さんが作った銘木ランディングネット(黒柿をネット全体に使ってある)、フライボックスに箱根の寄せ木細工を貼り付けた物にして、和式の袋にいれた。またミックの奥さんにもお世話になったので、絹の風呂敷を送ることにした。
そして10日ほど前に送ったところ、先日メールで礼状が届いた。とてもいいメールで、長くなるので和訳したものを紹介しよう。
”とても驚いています!なんと素晴らしいプレゼントでしょうか!
あなたとその友人たちに心から感謝します。
ネットとフライボックスは私にとって宝物ですから、傷をつけたくないので、使わないで、飾るだけにします。関係者の方々にどうかよろしくお伝えください。可能ならお一人お一人にお会いして感謝したいのですが、それはかないません。その職人技は特別のものです。なんとスゴイ技をお持ちなのでしょう!スズキ・フミオさんとクゼさんに私の謝意をお伝えください。
私は来週、ビクトリアン・フライフィッシャーズ・クラブで講演をし、オーストラリアのカゲロウについてスライド・ショーをやる予定です。その時にこれらのプレゼントを持っていって、会員に見せ、日本の技をみてもらおうと思っています。いずれ、スライド・ショーのコピーも送りましょう。
アレイン(ミックの奥さん)は風呂敷とその背景を知って感激していました。常代さんにすばらしいプレゼントへの感謝を伝えてください。アレインは彼女の宝物をその風呂敷で包んで楽しんでいます。
ふたたび、たくさんの感謝を送ります!
では。
ミックとアレイン”
このメールは嬉しかったなあ。
フライフィッシャーマンは手仕事が好きであり、職人技には関心が高い。だから手作りの製品の良さが分かってもらえるようで、このことは国境を越えて伝わることを実感したのだった。