9月28日(日)、曇り。 この日はニジマス釣りで、H田さんに案内してもらい、十勝の川に行った。そこの川幅は約10メートルくらいで、ウェーディングで渡れるほどの小さな川だった。川はなだらかな地形をゆったりと流れ、河原は小石ばかりで歩きやすかった。風もなく、初秋のさわやかな空気の中で、釣りができた。 この川には30センチくらいのニジマスが多いですが、時には50センチクラスも居るんですよ、との事。 釣り始めてすぐにボクのドライフライを食ってきたのは35センチメートルほどの元気のいいニジマスだった。そして、3人で、追い越したり、追い越されたりして、釣り上がっていった。 ある所で、流れが深くなっていて、木が倒れて水面に半分沈んでいて、いかにも魚が付いていそうだった。ボクは慎重にフライを流したが、フライは倒木に引っかかってしまい、軽く竿をあおったとき、”バキッ”と音がして竿が折れてしまった。竿はティップセクションの根元の所で折れ、ティップは完全に分離して、するするとリーダーの方にすべっていってしまった。 それほど強くあおったわけじゃなかったのに・・・。古い竿なので、傷ついていたのかもしれない。竿はオービスのファー・アンド・ファイン、5番、7フィート半で、とても振りやすい竿だった。ボクは気落ちしたが、竿はこれまで何本も折ってきているし、モノはいずれは壊れると思っている。で、車に戻ってロッドケースから竿袋を出してみたら、スペアのティップセクションが入っていた!いやあ、良かった良かった。スペアがあって助かったことは初めてのような気がする。皆さん、古いバンブーロッドを買うときはダブルティップを買った方がいいですゾ。 この日のもう一つのエピソードはワスレナグサを見たこと。この花は、鱒釣りや鮭釣りが出来る世界の寒冷地で見られる花であり、この花だけはちゃんと見分けられるので、ボクのマスコット・フラワーになっている。だからボクの釣りの帽子にはワスレナグサのピンが付けてあるのです。北海道のこの花は日本原産らしく、エゾムラサキという和名があるそうだ。久し振りにワスレナグサを見つけて、ボクは嬉しくなり、何枚も写真を撮った。 総じて、まことに気持ちのいい鱒釣りだった。 釧路に戻り、3人でジンギスカンを腹一杯食べ、H田さんとは再開を約して別れた。夜にはちょっと一杯飲もうと言うことになり、ホテル近くの「万年青」というおでん屋に行った。長くやっていそうな落ち着いた雰囲気の店だった。 カウンターに座ると、おでん鍋の横に細長くてお湯だけが入っている槽があった。「あれはなんだろうねえ」とボクが言うと、Y田君は「何でしょうねえ。おでんを洗うというのもおかしいし・・・」そこで、思いついたボクは、店の人に「あれはもしかしたら酒の燗を付けるもの?」と聞くと、そうなんですと言う。ウム、昔風でいい感じなのであった。 旬のししゃもを焼いてもらい、焼酎のオンザロックが旨かったなあ。 この日は、ほぼ完璧な1日だったように思う。あれで竿さえ折れなければ・・・ ま、この世に100点満点なんて、あり得ないんだから。だが、ボクも教師のはしくれとして、98点はあげたいと思った。