9月29日(月)、晴れ 今日はガイドなしの自由日で、二人で相談の結果、阿寒川C&R区間に行くことにした。H田さんの話で、魚は大きいし、ドライフライで釣れる可能性が高いということだった。また、阿寒川にはオクトーバーカディスが多いそうだ。 阿寒湖に向かう途中、タンチョウを見た。2羽がしきりに地面をつついていて、なかなか頭を上げてくれなかった。 阿寒川C&R区間の雄阿寒ホテル跡に行ってみると工事中であり、新しくホテルが出来るらしい。 川に入ってすぐの”阿寒川銀座”に行ってみると、流れ込みで大きな魚の背が盛り上がるのが見えた。オクトーバーカディスを結んで投げると彼はすぐにくわえて横につき進んだ。重くて止められず、5メートルほど進んで動かなくなった。こりゃあ持久戦だなと思って、曲がった竿を保持して待ったが、魚はまったく動かない。おかしいと思って近づいてみると、ティペットは沈木にからんで切れていた。賢いニジマスであった。 ボクは下流に向かって歩き始めた。このあたりの森はまったくの自然林であり、美しく、その中を阿寒川が静かに流れていた。熊が出てもおかしくないので、ボクはときどき笛を吹きながら歩いた。木々の間から陽射しが漏れて、汗ばむくらいの陽気だった。支流の合流点より400メートルほど下り、川岸で休憩して昼食をとった。木々の中には紅葉が始まっているものもあり、まったく気持ちのいい川辺だった。 休息の後、釣り始めたが、鱒はなかなかフライには出てこなかった。そしてあるポイントでふいにボクのドライフライに水しぶきをあげてヒットしてジャンプしたのは綺麗な姿のニジマスだった。それほど大きくはなく、40センチメートルほどだったが、とても元気が良かった。下流側に突っ走り、流木の塊の方に行ったのを止められず、ティペットが沈木に触って切られてしまった。 その上の流れではライズがあったが、鱒が定位して就餌しているライズではなく、あちこちに移動しながらときおりライズするので、釣るのが難しかった。 その頃から今日はボウズをくらうかもしれないという不安が起き始めていた。そこで”阿寒川銀座”に行き、何とか1匹、フライを沈めて釣った。その後、ライズがあったりしたが、かなりスレていて、6エックスのティペットにドライフライを付けて2度ヒットしたが、合わせ切れをしてしまった。 何かこの日はいまいち気合いが入らず、美しい景色の中で、休日を過ごしたような気分だった。釣り旅行では1日くらいそんな日があるものだ。この日はそんな1日だったような気がする。