モノの自慢は品がないのでできるだけ控えるようにしているが、久し振りに気に入ったモノが手に入ると、これが嬉しいものでね、何度も取り出しては表から眺め、裏からも眺め、なめるように楽しむ。ことに貴重なモノが安く手に入ったときは格別に嬉しい。ただ”貴重な”というところが、ある人にとっては貴重でも別の人にとってはどうってことはないことがあるものだ。
最近手に入れたモノで気に入っているのは虫入り琥珀だ。琥珀というのは旧石器時代(数百万年~数拾万年前)ごろの樹液が固化・化石化したものだそうで、樹液に寄ってきた虫が閉じ込められることがあるわけだ。で、閉じ込められた虫も化石ということになるので、数千万年前の虫が見られるわけであり、まなざしは遠くなり、夢が生まれる。ただあまりに長い時間が経過しているので、虫の保存状態が良いものは少なく、そんなものは高値がつくことになるわけである。
虫入り琥珀にはコーパルというまがい物や人工の偽物が多いらしい。今回買った先はリトアニアの琥珀専門のネットショップで、絶対に本物のバルト地方の琥珀だと主張していて、eBayの販売歴も長いので、信じてみることにした。それほど高くもなかったことだし。
お目にかけよう。カゲロウ入りの琥珀だ。テイルも2本あり、まぎれもなくカゲロウであることがわかる。体長は6ミリメートルほど。琥珀に入っている虫はアリやクモ、ユスリカなどのディプテラが多いが、カゲロウはかなり珍しい。
ま、カゲロウを見て喜ぶのはフライフィッシャーマンくらいだろう。ヘラ師に見せてもキョトンとしているだろうし。
石のままでもいいが、カゲロウの所を切り出してネクタイピンにしてもいいななどと考えているところである。