5月23日(土)、フライを初めて半年足らずの初心者のD君をイワナ釣りに連れていった。イワナなら初心者にも釣りやすいしね。どこに行こうかと考え、綺麗な川がいいだろうし、長く行っていないが千曲川の支流に行くことにした。 その支流には大堰堤があり、堰堤の上は小さな湖になっていて、流れ込みと遠浅があり、ウェーディングは安全で、イワナも多い。20年ほど前に米軍の司令官を案内したとき、彼は、「日本にこれほど美しい所があるなんて知らなかったよ」と感激していた。そしてイワナがライズして、彼は数投目にそのイワナを釣ったのだった。 信濃川上に着き、ナナーズNANA'Sで弁当を買い、大堰堤の上に行ってみると、大きく地形が変わっていて、ライズは無く、少しは魚が居るのだろうが釣るのはきわめて難しい状況だった。浅瀬では小さなオタマジャクシが群れていた。 そこで、流れのある所で釣り教室となり、魚の付き場、フライの流し方をD君に教えた。彼は釣り堀には何回か行っているので、ある程度のキャスティングと合わせはや魚の取り込みはできている。だが、自然渓流で釣るのは今回が初めてだった。その後弁当を食べ、下流に移動することにした。 下流部は美しい渓流だった。まわりの新緑はまぶしいほどに活気があり、あたかも生き生きと生命を謳歌しているように見えた。水温は12.3℃。 川に降りると対岸側に大石に囲まれた緩い流れがあり、絶対にイワナが付いていると思ったので、D君に、そこに立って、あそこにフライを落として自然に流すように言った。だが、彼にはポイントが見えていないようで、手前の流心にばかりフライを投げていた。そこで、〈そこじゃない、そこには今は魚は居ないんだ、流心に立って、対岸寄りの緩い流れを狙うんだよ〉と教えた。そしてフライが流れ、ドラッグがかかってフライが早く流れた瞬間にイワナが出た。そのイワナはフライを食い損ない、水中で反転するのが見えた。大きなイワナでね、少なくとも25センチメートル以上はあった。 彼は呆然としていた。「魚が出たよ、見えたのかい!けっこうデカかったねえ」「はい、見えました」と言い、彼は首をうなだれた。結果的に、そのイワナはこの日の最大サイズだったので、惜しいことをした。だが、あの反転したイワナの姿は彼は一生忘れないだろう。 その後、川を釣り上がり、時期的にまだ早い感じで、なかなか釣れなかったが、ある広い堰堤下のプールで彼のフライにイワナが出た。20センチメートル弱だったが、「先生、釣れました!フライにポコンと出たんです」と大喜びだった。彼に生まれて初めてのイワナが釣れ、しかもドライフライで釣れたのだった。 夕方には千曲川本流に行った。行くと井田さんと中津川フィッシング・エリアの仲間が釣りをしていて、彼らに合流した。僕はその日まだ釣れてなかったので、真剣に釣りをして、真っ暗になる寸前にウェットフライでチビイワナが一匹釣れた。 この日の夕焼けはとても綺麗だったなあ。 清里では懐かしのロックROCK(レストラン)でビーフカレーを食べた。土曜であり、たくさんのお客さんで混み合っていた。カレーは量が多く、D君は完食したが、僕は残してしまった。うむ、俺も若くはないからな、と感じてしまった。彼が「先生はいつからフライフィッシングをやっておられるんですか?」と聞く、「1981年だよ」彼は驚いて「僕、1982年生まれなんです。スゴイなあ」と言う。そして、僕がフライを始めたきっかけなどを話した。 朝7時に相模原を出てから長い一日になり、ちょいと疲れたが、初心者の初釣行としては大成功だったんじゃないだろうか。彼にとっても忘れられない一日になったことだろう。