7月1日(水)、曇りのち晴れ。この日は二度目の移動日で、帯広を出て釧路に向かう。朝、ホテルの部屋から外を見ると薄い霧がかかり、この日も肌寒い一日になりそうだった。釧路までは2時間ほどで行けるので、少し釣りをしていこうと思い、音更川の上流部をのぞいてみた。橋から見ると良さそうなプールがあったのだが、アプローチが難しく、かなりの藪こぎを強いられそうだったので、”単独行なので無理はしない”という原則を守ることにして、そこでの釣りはやめた。 カーナビに釧路のホテルを目的地にして走り出す。士幌から足寄(あしょろ)を抜け、いくつか丘を越えて、下りになっていったとき、道路に見覚えがあった。カーナビを見てみると上茶路を走っていた。つまり、茶路川(ちゃろがわ)沿いに走っていたのだった。茶路川は去年もアメマス釣りに来たなじみの川であり、とたんに安心感が湧きあがり、去年釣ったポイントに寄ることにした。行ってみると、渓相が変わっていて、全体に浅くなっていて、川をのぞきこんでもアメマスの姿はなかった。そこで、釧路の水口さんに電話してみた。「いま茶路にいるんですよ。川をのぞいたんだけど、今はアメマスはいない時期ですかね」「はい、今は少数の河川残留型がいるだけです。そうそう、今日はヤマメの解禁日ですよ。茶路川にはヤマメがいますからちょっと遊んでいったらどうですか」とのこと。思いも寄らぬ嬉しい情報であり、まだ3時で、夜の宴会にはじゅうぶん間に合う。さっそく釣り姿になって釣り始めたのだった。 小さなフライはフラタリングカディスしか持っていなかったので、それを付けて振り込んだら、すぐに反応があり、二投めに15センチメートルほどのヤマメが釣れた!こりゃあいいと気合いが入り、本気になって釣り始めた。ポイント毎に釣れ、100メートルほどの区間でヤマメやイワナがつぎつぎに釣れた。釣り上りで18匹、釣り下って2匹を追加した。内訳はヤマメ11匹、エゾイワナ8匹、ハヤ1匹で、最大サイズはヤマメの22センチメートルだった。北海道のヤマメは放流していないので天然魚であり美しく、体高が高くて引きも強い。釣ったのは一時間ほどだったろう。驚くやら、嬉しいやらで、水口さんに電話して大正解であった。思えば、北海道でヤマメを釣ったのは数十年ぶりのことだった。河原には北海道ではよく見る大きなフキが生えていた。 釧路での宿は「ラッソ釧路」で、チープ・アンド・クリーンの典型のようなホテルだった。1泊朝食付きで4500円也。従業員の対応も丁寧で、おまけに飲み屋街がすぐ近くにあるのがいい。その飲み屋街の中にある「軒(のき)」という店で7時から宴会があった。参加者は藤プリントの水口さん、釧路市役所の早田さん、イラストレーターの沖野さん(http://ametubu.exblog.jp/ )、とボク。スキューズ本の出版では水口さんと沖野さんにお世話になったし、早田さんは今回の釣り用にボクにフライを送ってくれていた。釣り人同志の話は尽きなかったが、茶路川でヤマメを釣った話をすると、皆驚いていたようだった。沖野さんはユニクロのデザイン・コンペ(テーマはスターウォーズ)に応募して、賞をもらったそうで、彼のデザイン入りのTシャツをもらってしまった。彼のイラストは味があり、人間味があるので、もっともっとコンペなどに出すように激励した。 地酒も旨かったが、きんきの唐揚げが絶品だった。釣りでは一人で飲んだり食ったりだったが、仲間とワイワイしゃべりながら飲むのは楽しいものだ。 明日は水口さんと阿寒湖に釣りに行く。 阿寒湖の”黄金のアメマス”が釣れるといいな。まだ見たことがない魚に夢がふくらんだ。