8月2日、晴れ。 この日の朝、座間市からS水さんという若夫婦の釣り人が来ていて、我我と一緒に北アルプスの源流に行きたいと言う。聞くと相模大野のバートンのお客さんでボクの本を3冊買ってくれたそうだ。ボクの本の愛読者であれば粗末に扱うわけにはいかない!さっそく沢割をして、皆は急な沢に入るが、ボクは一人でいちばん楽な沢に入ることにした。 「山や」をチェックアウトするとき、昨日ボクは買ったばかりの(昨日初めて使った)デニス・フランキーのグラファイト竿を皆に振ってもらった。ハンドメイドの竿であり、すばらしい竿だった。ブランクはダークグリーンだが、たまたま水中に入ったときには鮮やかなグリーンに輝いたのだった。仕様はメドウ・マスター、8’9”、#3で、53グラムと驚くほど軽い。そしてそのアクションはきわめてスムーズであり、たとえて言えば、4(2?)気筒エンジンと8気筒エンジンの違いに似ていた。山田さんに見せるとコンパウンドテーパーになっていることを見抜いたものだ。 「山や」の前で集合写真を撮って出発。車である程度高度をかせいで、川へ。ボクにとって2年ぶりの白馬源流だった。熊も出るそうで、ホイッスルを吹きながら川を遡行した。だが、イワナはフライに出るもののフライをくわえない。そこそこスレているようだった。その沢に来たのは3度目か4度目であり、見覚えのある岩や木があった。遡行し始めて、すぐに息が切れるのに気がついた。休めば回復し、また遡行する。高度が上がるに従って休む回数は増えていった。おととし来たときはこんなに休まなかったのに、今回はすぐに息が上がるのだ。やはり、左の肺を半分切除した影響は大きいようだった。そしてやっと23センチメートルのイワナが釣れた。嬉しかったが、ややサイズに不足だった。行けるところまで行こうと思い定め、10メートル登っては休み、また10メートル登った。そして急峻な岩瀬の下にやや深い淵があった。ここには居るなと思い、息が整った後、フライを投げると白泡の下から横っ飛びに太い魚がフライに出た!重い魚であり、頭も大きかった。こりゃあデカイと思ったんだが、計測すると27センチメートルしかなかった。しかし、見事な体型の立派なイワナだった。 ここで大休止し、弁当を食べた。ボクはかなりの程度に満足していた。このあと、さらに遡行を続ければもっと大きい物も釣れるかもしれないが、登った分だけ川通しで降りなければいけない。それを考えると、そこが今のボクの限界だと思った。単独行だし、無理はできない。で、下ることにした。実は下りも休み休みになって、休みがてら野草の写真をとったりして、入渓点まで戻ってきたときには疲労困憊していた。 白馬の釣りは終わった。里におりてコンビニでアイスクリームを買い、ガソリンを満タンにして安曇野へ。安曇野で蕎麦をたべ、高速に乗ったのは6時ごろだったが、大月あたりから中央高速の渋滞に巻き込まれ、相模原のクリニックに戻ったのは11時ごろだった。それから、書類や手紙をチェックし、メールに返事を出し、フェイスブックや狂四郎日記をチェックし終わったら12時になっていた。 これで今年の渓流釣りはほぼ終わったようなものだし、しばらくは休憩かな。ま、どうせまたどこかに釣りに行きたくなるだろうし、これだけはやめるわけにはいかないんだから・・・。