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2017年01月25日(水) 
 相模原に上溝(かみみぞ)という古い町があり、僕の自宅も上溝町内にある。上溝の中心部はJR相模線の上溝駅周辺であり、近くには市民プールや公園がある。その一角に中村書店というやや大きな本屋があって、これまで何度も立ち寄っていた。
 今月の22日(日)、車で中村書店の前を通りかかったとき、ふと、この本屋の棚に僕の本が並ぶといいなと思った。地元の本屋であり、地元の人が書いた本なら置いてくれるかもしれない。車には新刊の「ある毛鉤釣り師の足跡」が数冊と過去に出したカワノ・ブックスの本が段ボール箱に入れて積んである。そこで、ダメモトで本屋に入り、飛び込みの委託販売のお願いをしてみようと思ったのだった。店に入り、カウンターでカワノ・ブックスの名刺をわたすと、専務のN氏は、
「ご存じの通り、本はなかなか売れないんですよ。お預かりするのはいいんですが、まず売れないと思ってください」
と言う。予想はしていたので、
「はい、承知しております。当社としては地元の書店に置いていただけるだけで嬉しいので、売れなくてもいいのです。置いてもらえませんか?」
と頼んでみた。
「ほんとうにそれでいいんですか?置くのは全然かまいませんが・・・」
と言ってくれたのだった。僕は大喜びで車から「ある毛鉤釣り師の足跡」と「フライフィッシング用語辞典」を1冊ずつ持ってきて、N氏にわたした。

 そして、今日(25日)、僕は雑誌を買うために中村書店に行った。支払いをすませたあと、僕は持ち込んだ本が棚に並んでいるのを見に釣りコーナーに行ってみた。「フライフィッシング用語辞典」はすぐに見つかったが、「ある毛鉤釣り師の足跡」はどう探しても見当たらない。平積みにもなかったし、入り口付近の新刊紹介のところにもなかった。そこでNさんにたずねてみた。彼は釣りコーナーまで行ってくれたが本はなく、〈おかしいな・・・〉と言いながらカウンターに戻り、パソコンでチェックしてくれた。すると、しばらくして、何度か見直すようなしぐさのあと、
「売れてますね」
と言ったのだった。
「エッ、ついこの間入れたばかりなのに売れたんですか?」
「ハイ、そのようです」
「・・・・・ほんとうに!そりゃあ、嬉しいなあ!」
と言ってしまった。僕はほんとうに驚いていたし、嬉しくもあった。たった2-3日の間に、税込みで5000円以上もする、フライフィッシングの本が売れたなんて!Nさんも驚いていたようだった。
「では、すぐに1冊持ってきますから」
と言い、僕は駐車場にとめてある車に小走りで向かったものだ。

 と、こんなわけである。誰が買ってくれたんだろうなんて思ったが、そんなことは分かるはずもない。どこかの(フライ)キチガイが買ってくれたのである。抱きついてキスをしたいくらいだが・・・。
 今夜の晩酌は余韻をかみしめながら飲むことにしよう。こんなに嬉しいことはめったにないんだから。

閲覧数644 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2017/01/25 22:29
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