4月12日(日)、晴れときどき曇り。 この日、K島君から電話があって、狩野川の支流を案内したいという。この日は晴れていて、例の場所の釣れる時間はイブニングだけだと思ったので、彼の申し出を喜んで受けることにした。 行ってみると感じの良い支流だった。だがフライになかなか出ず、出てもフライをくわえていなかった。魚はスレていた。その日の午前中か昨日に釣り人が入った可能性が高い。 昼過ぎにはもう一カ所を見に行ったが、魚の気配はなかった。で、3時半ごろには例の場所に向かった。なぜか分からないがラストチャンスのような気がしていた。釣り場のすぐ上で護岸工事が始まっていて、当分は土砂と濁りが入り続け、しばらく釣りにならないかもしれない。今日は日曜なので工事はないだろう。今日頑張って釣っておかないといけないと思ったわけだ。 うす暗くなり始めた頃、風は時折強く吹き、水面では風に吹き流される小さな虫が見えていた。川岸の近くの流れが遅いところで観察すると、たくさんの小さなカゲロウであり、ほとんどがスピナーであった。体長は2ミリメートルくらいで、コカゲロウやウスバヒメガガンボの半分以下であった。体部はクリーム色、尾は短く3本(?)、翅はやや白っぽく、透明感があり、ヒメシロカゲロウ(Caenis)のようだった。 虫が出れば魚の食欲は刺激されるはずだし、大いに期待を持ってライズを待った。僕はもっぱら淵尻(落ち込みの肩)でライズ待ちをしたが、退屈になると10~20メートル上流の流心を見に行ったりする。そして、6時過ぎてかなり薄暗くなり、僕はフライをカディスに変え、その上流側で流下水生昆虫の写真を撮っていたとき、平坦に静かに流れる川の中央で「ボグッ」と音がしてライズリングが広がった。僕はすぐにキャスティングを始め、1投めはライズに届かなかったが、2投めにフライはうまく流れ、バシャンと水しぶきが上がって出た!しっかりフッキングし、ちょっと小さいなと思いながらも寄ってきたのはちょうど23センチメートルの綺麗なアマゴだった。釣れた場所はいつもライズ待ちしているところの15メートル上流側だった。 ヤッタァ、やっと釣れたのだった。いつものライズ待ちの場所ではないが、15メートル上だから、ほぼ合格、80点くらいはもらえるんじゃないだろうか。 なんと11回目の正直であった。もっとデカイのが居るんだが、贅沢は言うまい。釣れただけで御の字なんだから。 さっそく田中山のK木さんに電話をしたが、返事が無い。そうか、今日は選挙で投票のお手伝いに行くと言っていたし、手が離せないのかなと思った。N居田君に電話すると彼を釣り終わったばかりだそうで、「やっと釣れてね、お祝いでうなぎでも食おうと思っているが、一緒にどうだい?」「それはそれは、おめでとうございます。では、ごちそうになります」ということになり、伊豆長岡の「大ちゃん」に行った。ここはうなぎの味というよりも、家族的な雰囲気が好きで、ときどき行っているうなぎ屋だ。「例の場所」の釣りもやっと釣れて一段落にしたい。釣れないまま終わっても面白かったかもしれないが、書き手は同時に釣り師なので”ドヤ顔”をしたいわけであり、メデタシメデタシというわけだ。 例の釣り場ではたくさんの疑問を感じたし、いくつかのことを新たに学んだ。家でゴロゴロして、テレビを見て時間つぶしをするより、遙かに楽しむ事ができた。 さて、また何か面白いことを探さなくっちゃあ。 極小のカゲロウ下はコカゲロウ、上は極小カゲロウウスバヒメガガンボにくらべて半分もない極小カゲロウ