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2008年07月27日(日) 



私の人生の中でもっとも幸いに思うことは、生理学という英米の学問を専攻したことであると考えている。
リーズン (reason) とか、リーズナブル (reasonable) とかいった言葉に出会うことができたことであった。リーズンは理性・理由・適当に相当することばであって、リーズナブルは、理性的な・理由になる・適当なという意味の言葉である。
これらの言葉は、個人判断に関する評価の言葉であるが、日本語にはこれに相当した言葉はない。
だから、個人主義も理解されていないし、偉大な個人も育たない。
「適当にやれ」は、「不適当でもかまわない」と解釈されたりする。
こうした言語環境の中にあって、和のみを強調すると、人々は烏合の衆になりがちである。
事実の確認が必要なことはもちろんであるが、個人の考えの内容がないと、学問にはならない。
<論語・為政> にある「温故知新」という言葉であるが、「古きを尋ねて新しきを知らば、もって師となるべし」という意味である。
英語を使うとこの知的作業ができる。
実験結果を過去時制で述べるときには、現在起こっている現象に関する解釈を現在時制で述べる。これは「温故」である。
目の前の事柄を現在時制で述べるときには、その「あるべき姿」を未来時制で述べる。これは「知新」であろう。
過去と現在の比較、現在と未来の比較などの比較により結論を得ることは、根拠ある判断となる。
つまり、理性判断である。
だから、英語のように、事実と考えを区別して言い表す語法が大切であることが分かる。
だが、時制のない言語・日本語を使っていると、事実と考えの区別は難しい。
日本人には、自分自身の考えというものがない。頭の中にある内容は、いつも頭の外のことばかりである。
「話にうつつ (現) を抜かすな」と言われている。これは、現実構文の中には、現実の内容ばかりを盛り込まなくてはならないというルールである。
だから、日本語は、学問する言葉としては適していない。
日本人は、頭の中の内容と、頭の外の有様を区別することに慣れていない。いや、自分の考えだけがない無哲学・能天気なのである。
それで、日本人の勉強は、暗記とその受け売りになりがちである。
このような勉強法を社会が奨励すると、学生は受験地獄に陥ることなるが、決して賢くはならない。
私も学者の端くれとして、駆け出しの頃は、よく事実と考えの区別のできない状態に陥った。
だから、論文を書くときに困った。論文を書くときには、実験結果 (results) と考察 (discussion) が同じ内容になって困ったのである。
事実は、人畜共通であるが、考察の方は人間特有で叡智 (えいち:優れた知性) の表れである。そして、日本人には、こうした叡智が見られない。
1134文字


Professor Terashima is an accomplished scientist but also an acutely observant philosopher and sociologist whose critical ideas are deeply penetrating. What he writes will give his readers much cause for reflection. His contribution is that he articulates through carefully structured analysis what the Japanese have for a while but only vaguely suspected about themselves.

沖縄県立芸術大学教授 A. P. Jenkins



http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/index.htm
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/


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閲覧数2,397 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2008/07/27 03:22
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2008/07/27 10:51
    利平さん

    お便りありがとうございます。
    退院おめでとうございます。
    優雅な生活をしておられるようですね。
    結構なことです。
    今後ともよろしくお願いいたします。
    S.T.
    次項有
  • 2008/07/27 05:23
    はじめまして。
    日本人として、うれしいことに『情緒』を感じえる生活者でありますことと、自分の『志』を大切に生きて活きたいと思ってます竹と利平と申します。
    今後もよろしくお願いいたします。
    利平
    次項有
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