nanaリンさん:
カワウソのような、か。確かに。
可愛いと言えば、確かに可愛い気もする、なあ。
もしかして釣り人のウデの良し悪しを見分けたりして。この人は釣りそうだから付いていこうと思ったり、ね。ハハハ。
今年もよろしく。
旨い物を食べさせてください。
1月3日、初釣りに行った。場所は丹沢北部の青根にある「緑の休暇村」のフィッシングエリア青根。道志川の支流を利用した釣り堀だ。この休暇村には「癒しの湯」という温泉センターがある。ウラタンの帰り道にあり、混んでないのがいい。 この釣り堀にはニジマスとヤマメが放してある。また、温泉センターの玄関のガラスドアには夕方たくさんの水生昆虫が付いているので、この川には水生昆虫が多いことは知っていた。だが、僕はその釣り堀で釣ったことはなかった。今時分は寒いから釣り客は居ないだろうし、1-2時間遊んで温泉に入ろうと思ったわけだ。天気は快晴だった。 釣り支度を始めていると猫が寄ってきた。黒と白のブチだ。そして僕の足下に身体をすり寄せてきた。僕は猫がやや苦手で、猫にはそのことが分かるらしく、これまで猫が寄ってくることは数えるくらいしかない。珍しいことがあるもんだと思った。釣りの準備ができて、川岸の方に歩き出すとその猫が先導するように振り返りながら歩いて行く。ホホウ、俺も猫にもてることもあるんだなあと嬉しくなり、釣りを始めた。猫は3-4メートル離れてじっと座っていた。すぐにドライフライで小さなニジマスが釣れた。猫が興味深そうに寄ってきたが追い払って魚をリリースした。その後は釣れず、流れ込みのある場所に移動した。猫も付いてきた。流れ込みの速い流れではピシッというヤマメ特有のライズがあった。3投目にうまく流れバシャと水飛沫が上がってフライをくわえた。合わせも決まり、寄せてくると27センチメートルくらいの立派なヤマメだった。写真を何枚か撮って岸に寄せてきて、ヤマメが横になった写真を撮ろうとしたときだった。ネットを持った僕の左腕の下に動物の感触を感じた。見るとネコが僕の左手の下にもぐり込んで、アッという間にヤマメをくわえたのだった!そしてトコトコと逃げていく。ヤマメにはまだフライが付いているので、ラインを引っ張りながら逃げていく。僕はびっくりしつつも、しかたなく竿をあおってティペットを切ろうとしたら、幸い、フライがヤマメから外れて手元に戻ってきた。僕はしばし呆然としていた。そして次の瞬間すべてを理解したのだった。あの猫は魚が食べたかったから僕に付いてきただけで、僕に好意を持っていたわけじゃないことを。当たり前と言えば当たり前かもしれないが、僕はかなりガッカリしたものだ。思い返せば、あの猫が僕の足下に身体をこすりつけてきたのも、長靴に付いた魚の匂いのせいだったことは間違いないだろう。”若い女のスリ”みたいなもんだな、と思った。だが、思い直すことにした。猫はきわめて鮮度の高い、りっぱな型のヤマメにありついたのだ。年の初めに”いいこと”を一つしたと思えばいいじゃないか、と。獲物をかすめ取られてベテラン釣り師の面目は丸ツブレだったのだが・・・。 釣りは2時間くらいでやめて、温泉に入った。冷えた身体が暖まっていくのはまことに気持ちがいい。そして思った、ウム、今年もいろんなことが起きそうだな、と。 |