ウラタン・スペシャルというのはフライの名で、30-32番のフックに巻かれた極小ミッジのイミテーション・パターンだ。「うらたんざわ渓流釣り場(人呼んでウラタン)」の冬にはヤマメが空中に躍り上がるライズが起こるが、何を捕食しているのか誰も知らなかった。僕とO川さんで通い詰め、体長2-3ミリメートルのユスリカのアダルトを捕食していることをやっと突き止め、フライロッダーズという雑誌に記事を書いた。その時に作ったイミテーション・パターンがウラタン・スペシャルであった。 そのフライを僕は10個ほどウラタン釣り場にある売店に置いもらい、販売を依頼していた。その後、ウラタンに釣りに行くたびに聞いたが、なかなか売れないという話だった。 で、この正月にウラタンに様子を見に行ったとき、管理人のS戸さんが 「売れましたよ、フライ」 と言う。 「おお、そうかい。嬉しいなあ。いくつ売れたの?」 と聞くと、 「五個売れました。あるベテランの方が一人で五個買っていったんですよ。巻く時の参考にすると言って」 とのこと。 僕は自分が考案して、自分で巻いたフライが売れた、ということがとても嬉しかった。プロタイヤーの仲間入りをしたような気分だ。 写真の左4個がフライで、右側は極小ユスリカ。 その後、この極小ユスリカに注目しながら管理釣り場に行き、極小ユスリカは年間を通して見られること、どの川にでも居ること、を確認している。自然の川にも当然居るはずである。皆さん、フライボックスの片隅にこのウラタン・スペシャルを2-3個入れておくことをお薦めしたい。イザという時のために。 |