オヤジが逃げたら面目丸ツブレだよ!
いちおう、オヤジは子どもにとってヒーローなんだから。
母親は親として余裕を持っているからね、カッコウ付ける必要はないだろうが。
このところインフルエンザワクチンの予防接種を受けに来る人が多い。今日も母親とこども二人が受けに来た。子どもは上は6歳の男の子、下は3歳の女の子だった。上の子は診察室に入ってくるなり、患者さん用の回転丸椅子に載ってグルグル回ってはしゃいでいる。嫌がって暴れる子が多いのだが、タマにこんなのも居る。母親は可愛い感じの30ちょい過ぎの人で、 「ちょっと、静かにしなさい。病院でははしゃがないように言ったでしょ」 と叱る。 お兄ちゃん、そして妹の接種が終わって、シールをあげる。ここでは予防接種が終わったあと、子どもには頑張ったごほうびにシールをあげることにしている。けっこう評判がいいようだ。そして最後に母親の番になった。ボクが注射器を持って母親の左肩に近づいて、針を刺そうとしたとき、母親の体が注射から逃げるようにほんの少し動いた。アラ、と思ったがボクはかまわず注射を打ち終わった。そして、 「親もちょっと・・・」と言い、怖いんだねと言いかけて、やめた。子どもの前だから親の威厳を保ってやらなければいけない。彼女もちょっと恥ずかしそうな顔をした。やはりね、注射は痛いという記憶があるからなあ。 ボクのクリニックではワクチン接種では26ゲージの注射針を使っている。これはとても細くて、刺した痛みはゼロに近い。それでも注射針を見ると反射的に体が逃げたというわけだ。「人の親」業も大変なようである。 |