嬉しいことがあった。それは僕の誕生日(8月10日)と事務長(家内)の誕生日(11月)を祝って職員が我々にごちそうしてくれたのだ。僕だけだとややオーバーになるので、家内の誕生祝いも一緒にやろうということになったらしい。日取りは9月2日ということになり、場所は厚木の「叙々苑」という焼き肉屋。僕のクリニックは相模原の外れにあって厚木に近いので、行くのは簡単だった。 「叙々苑は高級なレストランだよ。そんなとこじゃなくていいのに」 と僕が言うと、主任のナースは 「夜は高いそうですが、お昼ならランチがあるんですよ。それなら2000円くらいだし、私たちでも払えます」 とのこと。 僕のクリニックでは職員の誕生日には小さなお祝い品を渡してきた。どうやらそのお返しらしい。また、これまで折に触れて僕が職員にごちそうしてきたが、その逆は一度もない。立場や年齢からいっても僕がおごるのが当たり前だと思ってきた。ところが今回は逆で、皆がおごってくれるという。そんなことがあっていいのかどうか、家内とも相談したが、結局、皆の厚意を受けることにしたのだった。 叙々苑のランチはとてもおいしかった。飲み物、サラダ、小鉢、冷や奴、ご飯、スープに焼き肉が7枚ほど出て、1800円くらいだった。これなら安い!焼き肉のタレも独特でおいしく、贅沢な昼食になった。僕はもともと肉が好きだし、食べ終わっていると、主任ナースが 「肉の追加を頼みましょうか?遠慮なく言ってください」 と言う。それじゃあと、僕はカルビを1人前追加してもらった。 食事の後、僕は皆に感謝を伝えたが、てれくささもあって、 「大丈夫か、すこし援助しようか?」 と言ってしまった。すると数人が”いやいや大丈夫です!”と言う。また、僕は今準備中の「ある毛鉤釣り師の足跡」の表紙カバーの下刷りを皆さんにまわして見てもらった。皆 「カッコいい写真ですねえ」 と言ってくれた。 たいした給料も払っていないんだが、少なくとも僕のクリニックでは職員が喜んで働いていてくれるんだと思い、僕はとても幸せな気分になったものだ。一方、今年の忘年会はちょっと張り込まなきゃいかんな、なんて思っている。 |