釣りに行けないと何となく手持ちぶさたで落ち着かない。僕は朝食後にトイレで朝刊を読む習慣があるが、ある日一面の下の方に出ていた本の宣伝でこの本のことを知り、面白そうなのでアマゾンで取り寄せて読んでみた。 うん、面白かった。アメリカは現在最悪だし未来はない、人類は滅びる道を選んだなど、痛烈な、あるいは独断的な表現で切り捨て、読者をどっきりさせた後、種明かしをしてくれる。そのペンはまったく自由に動き、気持ちがいい。もっと言いたかったことがあるが、そこはそれ、本には書けないこともあるからね、と言っているようだった。ユーモアがあり、人間を愛する人間主義がその中軸にあることが分かる。 彼はアメリカ人だが、ニューヨーカーでもある。ニューヨーカーはアメリカ人というより国際人の気風・気概があるように思う。そして、ヴォネガットは典型的なニューヨーカーだと思った。 僕は彼にとても親近感を感じた。ついでながら、アメリカの近代文学の流れを知りたくなり、これまで読んでいなかった「ライ麦畑でつかまえて」と「スローターハウス5」を読もうと注文した。 雨降りは悪いことばかりじゃないようだ。久しぶりに本を読んだというのも雨のおかげだったのだから。 |