8月10日(月)。本日から釣りの本番が始まる。川はアーガー川The Ager。アッター湖から流れ出してトラウンと平行に流れ、最終的にはトラウン川に合流する。 今回の旅行の前に、グムンデンに住むヨーロッパではよく知られたフライフィッシャーマンであるローマン・モーザーにメールで問い合わせたところ次のような返事だった。”トラウンからはいまやグレーリングは姿を消してしまったので、その魅力は以前ほどではない。また、トラウンに作られた水質浄化装置の機能が良すぎて水の栄養度までがさがり、水生昆虫が減少したという意見もある。自分はアーガー川に注目し、10年ほど前から鱒釣りの川にする活動を開始し、今ではすばらしい状態になっている。是非、アーガー川で釣ることを薦めます。ベストシーズンは6月です。ガイドはグムンデンに住むハンネス・ホバートがベストです”と。そんなわけでこの日と翌日はハンネスのガイドでアーガーを釣ることになった。 朝8時にハンネスが迎えに来た。初対面の挨拶を交わす。 「川の状態はどうかな?トラウンは大増水だけど」 と聞くと、 「いやぁ、まいりました。アーガーもすごい増水なんですよ。でも、何とかなるでしょう」 と言う。 アーガー川まではエリカの家から20分ほど車で着いた。途中のホテルで入漁証を買う。1日80ユーロ、安くはない。川はトラウンよりは一回り小さい川だった。だが、かなりの増水で、平水より30-50センチメートルは高いようだ。 ウェーダーを着て川沿いを歩く。今日は晴れていて、気温はどんどん上がってきていた。増水はかなりのもので、流れの緩い場所を探して歩く。ある場所で、沢水が流入しているところがあり、ハンネスは 「ここには魚が付いているはずだからストリーマーを使えば釣れるよ」 と言う。そして実際に釣って見せた。僕も竿を借りて釣ったがストリーマーで釣っても面白くも何ともない。釣れた魚はみなレインボウで、30-40センチぐらい。ただ、魚がたくさん居ることにはやや驚いた。 「やっぱり、ドライフライで釣りたいね。せめてウェットフライで釣れる場所を探そうよ」 と僕は言い、二人で再び歩き出す。すると、普段はごく浅い場所で増水した今では丁度いい流れのところがあった。ここではドライフライで数匹釣れ(いずれも普通サイズのレインボウ)た。60センチくらいのいい魚が居たが、ニンフで狙ったが釣れなかった。 その後も移動して釣れる場所を探したがなかなかいい場所は見つからなかった。 この増水ではしようがないなと思った。明日はもうすこし減水するだろうし、明日に期待しようということで、この日は早めに切り上げることにした。旅行の疲れも出てきていたので、ちょうどいいとも思った。 釣りの後、レストランへ行ってハンネスと食事をした。彼は地元の人間なので誰でも知っているようだった。レストランのオーナーの孫娘が興味深そうに僕を見ていたので写真を撮ろうとしたら、そろそろと逃げていった。 ヒマラヤの花が10年ほど前から咲き始め、今ではどこにでも見られるそうだ。種が持ち込まれたらしい。 ヨーロッパではどこでも見られる道ばたのマリア像。 レストランの孫娘。 ローマン・モーザーからも8月はあまり良くないと言われていて、それを承知で来たわけで、おまけに大増水ではどうしようもない。今回の旅の主目的はチェコのボヘミアなんだからという言い訳が頭をかすめた。 |