本命のチェコの話になかなかたどり着かない。いろいろあったからなあ。僕としても気合いを入れてがんばろうと思う。 8月11日(火)。アーガーの釣りの2日目である。行ってみると昨日よりは水位は下がっているもののまだかなりの増水であることはまちがいなかった。ハンネスと川沿いの小径を歩きながら釣りにいい場所を探すと、落ち込みの手前の緩やかな流れで数匹の鱒が水面直下に居るのが見えた。しばし見ていると、そのうちの1匹はスーッと水面に向かい、何かをくわえた。ライズである!ハンネスが、 「CDCフライで、小さいのがいいんじゃないかな」 というので、僕もそう思ったし、イマージャー風の18番を使うことにした。すぐ上に木の枝が張り出しているので普通のキャストはできないので、振り出しとロールキャストでフライを投げると、スンナリとフライをくわえてくれた!これは写真を撮らなくちゃあと数ショットを撮ってもらった。 この日は昨日よりずっとマシだった。魚もたくさん見え、そこそこ釣れた。アントパターン、黒いビートルも有効だった。だが、とても暑く、休み休みで川を釣り上っていった。かなり行ったところで川が急カーブで曲がっているところがあり、そこはライプReib(カーブ)と呼ばれ、平水ならすばらしい釣り場だそうだ。そこの川岸には木の長いすが置いてあり、二人で腰掛けて、しばし休憩をとった。日陰になっていて気持ちが良かった。 釣り終わって車に戻ってくると、新たに2台の車があり、2人の釣り人が夕方の釣りに来ていた。2人ともハンネスの知り合いで、ひとりはザルツブルグから、ひとりはドイツのバーデンバーデンから来たという。ハンネスはこの川では有名人なのだった。 ハンネスは47歳、ガールフレンドと同居しているそうだ。シュタイヤーミュールの製紙工場で働き、副業としてガイドをやっている。なかなかいいガイドであり、彼のおかげで今回何とか釣りになったようなものだ。彼は 「今回は増水で普段のすばらしいアーガーを見せられなくてとても残念だった。今度は6月に是非来てください」 と言った。 「うん、折りがあったら、ぜひ・・・」 と答える。 アーガーはいい釣り場だと思う。渓相もいいし、魚影が非常に濃い。6月もいいし、秋もいいらしい。近くにこんな川があればすぐに行くのだが・・・ この日の夜はM野一家とともに過ごす最後の夜であり、夕食にはエリカお手製のアップルパイが出た。とてもおいしかった。僕が 「こんなうまい物が作れるなんて知らなかったよ。これまで僕には作ってくれなかったよね」 と皮肉混じりに言うと 「あら、注文しなかったでしょ。言ってくれれば作ってあげたのに」 と言い返す。みんなドッと笑った。その晩はワインを飲みながらバカ話を遅くまでしたものだ。 |