この連休の初日、11月21日は久し振りに天気が良く、風も弱いという予報であり、西湖にヘラブナ釣りに行った。出船は6時半であり、それに間に合うには3時半には起きなければならないが、寝坊してしまい、西湖に着いたのは9時半頃だった。行きの中央高速からは冠雪した富士山がよく見えていた。
西湖では最近は西端のレストハウスから舟を出して沖ブナイというポイントによく行っている。ここは湾の中の奥まった場所であり、西風が吹いても東風が吹いても風裏になっているので気持ちよく釣りが出来るし、釣り人も石切という有名ポイントほど多くはない。
行ってみると沖ブナイには朝から釣り人が一人入っているだけで、僕が入るスペースはじゅうぶんにあった。西湖は観光シーズンも終わり、とても静かであり、まわりの山々には紅葉の名残りがあり、木々の葉は黄色くなっていた。
先客にあいさつし、彼から20メートルほど離れてロープ付けをする。彼は定刻通りに釣りを始めただろうから僕より3時間前から釣り始めたわけだ。早朝一番に一人で釣り始めるとヘラブナは彼が打った餌のまわりに群がっているはずであり、後から入った人はヘラブナが寄せられず、苦戦するものである。僕も4-5枚釣れればいいかなと思っていた。
餌を作り、バラケ具合を見るために丸めてボートのそばの水中に投げ入れて見ると、餌玉のまわりに細かくバラケながらゆっくりと沈んでいくようすが見えた。西湖の水は透明度が高いので、6-7メートルの深さまで餌が見えていた。
釣りの方は、案の定、彼は釣れ続け、僕に1枚目が釣れたのは11時ごろだった。予想はしていたので、落胆することもなく、静かな西湖を楽しもうと思った。
ウキがチャッと沈んで、すかさず合わせをくれれば、ヘラブナは奔り、僕は右手を高く上げて魚を寄せる。結局、この日は8枚を釣り、サイズは37~40センチメートルだった。
4時にはボートを返さなければいけないので、釣った時間は正味5時間弱である。僕なりに真剣に釣り、昼食はセブンイレブンのお稲荷さんと五目握りをほおばりながらの釣りだった。
ボートを返すとき、船着き場には若い観光客が10人ほど居て騒ぎながら、富士山をバックに写真を撮っていた。連中は中国人であり、こんなところまで来るんだと思った。
ボートの片付けに来たレストハウスの奥さんとの会話。
「釣れましたか?」
「はは、何とか8枚釣りました」
「あら、それは良かったですね!」
ずいぶん後から釣り始めたにしては上出来です、と言外にほのめかしているようだった。
とても気持ちのいい釣りだった。たくさん釣れなくてもいい。無理して早起きなどしないで朝は普通に起きて、気分良く釣りができて、それでじゅうぶん楽しめたのだから。