「東京脳腫瘍研究会」というのがあって、病理診断の難しい脳腫瘍症例を持ち寄って皆で討論し、診断を決めたり、今後の検索方針を示すのを目的にしている。小さな研究会だが、日本の脳腫瘍病理の専門家の半分以上が参加している、レベルの高い会になっている。 この会は1980年に東大のN嶋先生と僕で始めたもので、1986年にN嶋先生が北大に移動されてから2004年に若い先生に引き継ぐまで18年間は僕が中心になってやってきた。その会が第100回、創設30周年を迎えたので、この3月6日、記念大会が行われた。
この会はね、実物の病理標本を見て、フリーディスカッションとなる。討論では発言者の過去の実績に基づいた意味のある発言が重んじられ、肩書きは無視される。もちろん、初心者の”単純な疑問”も歓迎される。この場合は教育目的でベテランが解説することもあり、初心者にも勉強の場になっているようだ。
記念大会には遠くは札幌、仙台、高松、大阪、静岡から90名近い参加があり、嬉しかった。記念講演の後には、記念写真、懇親会、二次会と続いた。僕は「東京脳腫瘍研究会の生い立ちとその歩み」と題して講演をした。
僕の方は講演の準備にくわえて、久しぶりに多勢の前で話すので、前日には散髪屋に行き、当日はスーツを着てめかし込んで行ったものだ。講演では昔話をしているうちに、僕も長く頑張ってきたんだなあという感慨がわき起こって、ちょっと言葉に詰まってしまった。懇親会では懐かしい顔が揃い、よく飲み、よくしゃべったなあ。
僕はね、釣りばっかりやってきたわけじゃ無いんだよ、皆さん!ちゃんと本業の方でも頑張ってきたんだから。