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もくじ フライフィッシャーの昆虫学 第I章 鱒とグレーリングの観察 鱒について。その体高、色、コンディション、付き場、他。釣り小屋あるいは観察所について。鱒の聴力について。視野。味と味覚。就餌のやりかた、他。グレーリングについて。サイズ、色、釣り時期、局地性、習性、食料、他。----------------- 1 第II章 釣り竿、ライン、と他の釣り具 釣り竿、ライン、リール、末端の糸、フック、ダビング材、鳥の羽、ウィング・フライやパーマーフライの作り方、羽の染色剤、フライ・ブック、クリール、ランディング・ネット、釣り具の製造会社、他。----- 22 第III章 鱒やグレーリング釣りのマナー 釣り竿とラインの準備。投げ方(キャスティング)の技術。天候の選択。水の状態。フライの選択。フライに与える生き生きした動き、バズ・フライ、スレた鱒、他。ライズが突然にやむとき、他。ハードプレゼンテーションが良い場所、他。ライズした場所に投げること、合わせ、シメ方、ランディング。鱒釣りとグレーリング釣りの違い。グレーリングへのフライ・プレゼンテーションのやり方とランディング。--------------------43 IV章 フライフィッシングで使う昆虫とそのイミテーションのリスト はじめに、3月に使うべきフライ、4月のためのフライ、5月のためのフライ、6月のためのフライ、7月のためのフライ、8月のためのフライ、9月のためのフライ。シーズン中に使えるさまざまなパーマーフライ、他。- 55 図版のリスト 鱒、グレーリング フロントスペース I. 鱒の付き場、他 -------4 II. 視覚の図解---------10 III. フライ作りの工程 -----32 IV. レッド・フライ、ブルー・ダン、レッド・スピナー----------- 60 V. ウォーター・クリケット、グレート・ダーク・ドローン、カウ・ダング・フライ---------------------64 VI. ピーコック・フライ、マーチ・ブラウン、グレート・レッド・スピナー---68 VII. ゴールデン・ダン・ミッジ、サンド・フライ、ストーン・フライ------76 VIII. グラベル・ベッド、グラノム、イエロー・ダン--------------80 IX. アイアン・ブルー・ダン、ジェニー・スピナー、ホーソーン・フライ----84 X. リトル・イエローメイ・ダン、ブラック・ナット、オーク・フライ-----88 XI. ターキー・ブラウン、リトル・ダーク・スピナー、イエロー・サリー --92 XII. スカイ・ブルー、ファーン・フライ、アルダー・フライ-----------96 XIII. グリーン・ドレイク、グレイ・ドレイク、オレンジ・ダン--------100 XIV. マーロウ・バズ、ダーク・マッカレル-----------------104 XV. ペール・イブニング・ダン、ジュライ・ダン、ゴールドアイドゴーズウィング-------------------108 XVI. レン・テイル、レッド・アント、シルバー・ホーン-----------112 XVII. オーガスト・ダン、オレンジ・フライ、シナモン・フライ-------116 XVIII. ブルー・ボトル、ホワーリング・ブルー・ダン、リトル・ペール・ブルー・ダン、ウイロー・フライ---------120 XIX. レッド・パーマー、ブラウン・パーマー、ブラック・アンド・レッド・パーマー ------------------128 フライフィッシャーの昆虫学 第I章 鱒とグレーリングの観察 Observation on the Trout and Grayling ”私はそこに夜明けに着いた。そして流れの最上流部から釣り始め、一歩ずつ釣り下っていった。流れの中央当たりに来たころ、そこはまだ荒々しい流れだったが、石畳の石を川に投げ込んだような水しぶきがフライのところであがり、私のフライラインは頭の上を飛んでいった。見ていると、16本のヘアは同じ方向を向いていて(訳者注:おそらくホースヘアラインが切れて、構成しているヘアがバラけていた)、フライは消え去っていた。” アルンド、p. 31 鱒、生物学者が言うサーモ・ファリオSalmo fario (訳者注:ブラウントラウトの学名)は美しいし、スポーツを提供するので、一般的に言ってフライフィッシャーがもっとも好む魚になっています。その体側はエナメル質(ほうろうのように滑らかで)で、たくさんの宝石のような斑点があって、黄色味がかった金色の魚体は美しく、鮭に匹敵すると言ってもいいでしょう。毎年楽しむことができる鱒釣りの喜びはイギリスにおけるライバルである鮭釣りをはるかに凌駕するものでしょう。 鱒には赤い鱒、黄色い鱒、白い鱒の3種類が居ますが、赤い鱒がその美しさと食味の良さで好まれています。 この正当に評価されている魚は、ベスト・コンディションでは、鼻からテイルまでは胴回りの2倍の長さなのです。フライで釣れる鱒の一般的な重量は2オンスから2ポンド半ですが、時には4ポンド、5ポンドで、もっと大きなこともあります。3オンスや4オンス以下では魚籠に入れるには小さすぎます。 鱒には8つのひれ、つまり1個の背びれ、1個のしりびれ、1個の尾びれ、2つの胸びれ、2つの腹びれ、そして尾びれの近くで背部にあって骨がないひれ、があります。 デイビー卿Sir. H. Davyは(サルモニア、73ページ)「私は胸びれに何本の骨があるか知っている。それは12,13,あるいは14本であり、鱒の種類によって違う。一方、どの種類の鱒でも尻びれには必ず11本の骨があり、背びれには12か13本、腹びれには9本、尾びれには21本の骨がある」と述べています。 鱒の背部のひれは薄い茶色で、濃い茶色の斑点があります。他のひれは尾びれを含めて赤っぽい色です。鱒の背部の色はパーフェクト・コンディション(普通5月だが、いくつかの川では6月)では暗いオリーブグリーンで、斑点は黒いものと茶色のものが混ざっています。体側は背部のオリーブ色から徐々に緑がかった黄色に移行し、斑点は赤い。黒点は背部に多いですが、体側にかけて少なくなります。体側の黄色は腹部に近づくにつれて色がうすれ、鮭と同じ色になります。腹部はほとんど白であり、斑点はありません。 魚の全体の色は状況によっては美しい色のグラデーションを見せます。水の色によって、また同じ水でも季節の違いによって、見え方は大きく違ってくます。魚の色調は主としてその魚の健康の度合いによって変わるようです。 デイビー卿Sir. H. Davyは「魚の体色は鱗によるものではなく、鱗の下にある皮膚の表面の色によって変わる。それは、おそらく健康状態によって影響を受けやすい動物の分泌作用によるものだろう。」(サルモニア、40ページ)と述べています。 9月や10月の産卵期の後、オスもメスも美しい色合いを失い、痩せて、釣りの対象としてはふさわしくはありません。そして、冬の終わりまで、時には3月でも、緑色や半透明の1インチくらいの蛭のような寄生虫が鱒に付着しているのが見られます。このように鱒が惨めな時、もし鱒を料理したとしても肉は軟らかく、白っぽくて、鱒の健康なときの上質のサーモン・ピンクとは全然違っています。アイザック・ウォルトンの正しい信奉者であれば、そんな痩せぎすの質の悪い鱒は、たとえ大物が釣れたとしても川に戻すでしょう。 ----つづく |